一般質問(一問一答方式) H30.6 遠藤綾 議員

公開日 2022年01月12日

〔遠藤 綾君質問席へ移動〕

 

○遠藤 綾君  私は、一般質問通告書に従いまして、大綱3点について質問いたします。市長並びに理事者の皆様には、市民にわかりやすい誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 大綱第1は、原発についてであります。
 まず1つ目は、事故は起こる前提で万全の対策をということです。
 マグニチュード8から9クラスの南海トラフ巨大地震が今後30年間に70から80%の確率で来ると地震調査委員会が報告しています。そして、先日、6月7日、土木学会が南海トラフ巨大地震が起きた場合、20年に及ぶ経済的被害が1,410兆円に上るとの推計が発表されました。津波や地震の揺れで道路などのインフラや建物が破壊され、被災した地域の市民の総生産は地震発生後の2年間に50%前後以上失われるとの予測もあります。政府地震調査委員会の平田委員長は、人口や資本が集まっているところで大災害が起きれば被害が甚大になることを裏づけた指摘、人命の犠牲を少なくすることが第一だが、経済的損失に備え、社会基盤や建物を丈夫にすること、都市の人口集中には拠点の分散化が必要だと指摘しています。同じ日の愛媛新聞では、地震・津波だけでなく、台風、高潮、火山噴火に加え、原発事故がほぼ同時に起きた場合に被害はさらに膨れ上がる、想定外の事態にも対応できる備えを考えておくべきだと論じています。
 当市の場合を考えますと、地震・津波、台風、高潮などによる河川の氾濫、建物や家屋、道路の崩壊などへの対策を進めながら、原発事故による放射能の被害が同時に起こる場合も想定しなければなりません。福島では実際にそれが起こりました。私たちは福島の方たちが今も苦しんでおられる現状から教訓を引き出し、できることから一つ一つ対策をとっていかなければならないと思います。
 そこで、5点お聞きいたします。
 まず1つ目は、原発事故が起こり、放射能による被害を受けた場合、損害に対する賠償契約を実際の事故が起こる前に計算方法などを具体的に結んでおくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(新宮康史君)  総務部長。
○総務部長(新田幸一君)  お答えします。
 原子力災害が発生した場合の損害賠償については、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律などにより定められており、事故が発生した場合はこの法律の手続に基づいて処理されるべきものであり、被災の程度が見当のつかない現時点で、あらかじめ賠償額を定める交渉をすることは考えておりません。他の原子力発電所でそのような動きがあれば調査をしてみたいと思います。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今のところは法に基づき、実際の程度がわからないので考えていないというお答えでした。
 福島の原発事故が起こった当時、立地自治体であった双葉町の町長だった井戸川克隆氏は、2014年に八幡浜に来られ講演された際に、繰り返し事故が起きる前に賠償額など具体的な計算方法を結んでおくべきだった、実際の事故が起こったときに要求の6割ぐらい減額された賠償だった、だまされたというようなことをおっしゃっていました。事故が起こった後では、そのどさくさに紛れて福島と同じような目に遭う可能性があると思います。当市の経済界、農林漁業の団体らとも事前に協議し、実際に事故が起こる前に計算方法などの具体的な方法を研究するなどして、四電と交渉しておくべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○議長(新宮康史君)  副市長。
○副市長(橋本顯治君)  今部長からお答えしたとおりで、国の法律に基づいて処理すべきであると。ただ、今実際に元町長さんが言われた内容につきましては、私どもとしてその内容を確認できたわけではありませんので、6割に減額されたというような話が今ありましたけれども、基本的には損害が発生すれば、それはその当人の過失がない限り100%補償されるべきものであるというふうに思っていますので、実際の手続においては基本的に損害が補填されているように取り組むべきであると、そのように考えています。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  これは現在の福島がそのよい教訓になると思いますので、福島の現場で今どうなっているのかなどをよく調べて、また今後、追求していきたいと思います。
 次に移ります。
 現在の原発事故の際の避難計画では、まず自宅待機、そして避難指示が出た場合に地域の一時集結所へ集まり、松山の総合運動公園へ避難し、その後、地域ごとに決められた愛媛県美術館や生涯学習センターといった14カ所の県の施設などに分かれて避難する計画です。
 しかし、そこから先はどうなるのか。福島第一原発の立地自治体である双葉町では、町ごと埼玉県へ移住したということです。当市も今決まっているそこから先の移住先について、前もって考え、取り決めをしておくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(新宮康史君)  総務課長。
○総務課長(藤堂耕治君)  お答えします。
 八幡浜市住民避難計画は、八幡浜市地域防災計画原子力災害対策編の下部計画であり、平成25年10月に策定し、平成27年3月に改定をしております。この計画は、国の防災基本計画及び原子力災害対策指針、県の地域防災計画及び広域避難計画、そして市の地域防災計画等の見直しに応じて適宜見直しを行うこととしており、本年度修正する予定としております。
 議員御指摘のとおり、市民は全員松山市へ避難することとなっており、避難経由所である県総合運動公園を目指し、その後の具体的な避難所については松山市の広域避難者受け入れ計画により各施設へ避難する計画となっております。
 なお、広域避難が長期化すると見込まれる場合には、市民が賃貸住宅や仮設住宅などへできるだけ早期に移転できるよう、県とともに最大限努めることとなります。
 次に、避難が長期化した場合の移住先をあらかじめ取り決めをしておくべきではないかとの御質問でありますが、それはそのときの事故の状況によって判断をすることであって、現段階では事前にその取り決めをしておくという考えはございません。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  その事故の状況に応じてというお答えですけれども、実際に松山に避難し、各施設に移って避難させられるというような状況になれば、原発から6キロから15キロほどの距離に全市が入る八幡浜市の位置関係を考えますと、当分帰還が困難な地域になる可能性が高いと思います。県の施設へ避難するところまでの計画では不十分であり、その先もしっかりと考えておくべきだと思いますので、修正、見直しをされるということですので、その点も十分考慮していただきたいと思います。
 では、次に移ります。
 国は平常時の一般公衆の放射線量限度の数値を1年間で1ミリシーベルトに定めていました。しかし、福島第一原発事故後、年間20ミリシーベルト(校舎、校庭の利用判断については毎時3.8マイクロシーベルト)を超えるかどうかを暫定的な避難や帰還の目安としました。1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに変更されたということで非難する声が上がり、いずれは年間1ミリシーベルト以下を目指すと、目標にするということを後に発表しました。
 この放射線量、年間20ミリシーベルトを超えると見られる地域には、国は避難を促し、慰謝料が支払われ、医療費などが補償されました。しかし、そこから外れて指定外になった地域は、経済的負担を抱えながら避難を余儀なくされました。同じ福島の被災した住民でも20ミリシーベルトの基準で分断が行われました。除染を行い、20ミリシーベルトを下回ったと判断すれば、特定避難奨励地域が解除され、帰還が推奨され、その3年後からは東電による賠償が打ち切られるということです。
 福島県南相馬市では、2015年4月に南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟として住民の意思を無視した避難勧奨地点の解除は違法とし、南相馬市の住民206世帯、808人が国を相手取り、避難指示または勧奨の解除の取り消しを求め東京地裁に提訴し、今も争っています。
 そこで、お聞きいたします。
 線量の基準値に対する評価は確かに諸説ありますが、平常時の限度であった1ミリシーベルトを帰還や賠償打ち切りの条件とするよう、国、県としっかり約束を結んでおくべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○議長(新宮康史君)  総務課長。
○総務課長(藤堂耕治君)  お答えします。
 原子力規制委員会は、避難指示解除の基本的な考え方として1年間の被曝が20ミリシーベルト以下になる地域を避難指示解除準備区域に設定しており、インフラや医療、介護、郵便などの生活関連サービスがおおむね復旧し、子供の生活環境の除染が進捗した段階で、県や市、住民との十分な協議を踏まえ、避難指示を解除することとなっております。
 あらかじめ1ミリシーベルト以下の地に移住させる契約を結ぶべきではないかとの御提言でございますが、基本的には国の制度のもとで適用すべきと考えており、あらかじめそのような契約を結ぶことは考えておりません。
 以上でございます。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  幾ら国が20ミリシーベルトでの帰還を推奨したとしても、安全性に少しでも疑念が残る限り、若い世代は帰還しようとしないと思います。年齢が上の世代と下の世代の分断が起こると思います。賠償を打ち切る口実にされます。
 井戸川元町長は、1ミリシーベルト以下で原発から200キロ以上離れた場所にかわりの土地を用意させるか、新たな場所で再出発できるよう補償する賠償金額を結んでおけと繰り返し言われていました。福島の現状から学び、前もって国、県、四電などと交渉しておくべきではないかと思います。再度いかがでしょうか。
○議長(新宮康史君)  副市長。
○副市長(橋本顯治君)  井戸川元町長さんの御発言内容をもとに議論を組み立てておられるんですけれども、非常に御苦労をされて、自分が町長であった時代に推進派の立場として原発を持ってこられて、ああいう被害に遭われたことで非常に御自身も反省された上でのお言葉だと思います。それは実際に被災に遭われたところからの直接の声として私どもも深刻に受けとめる気持ちは持っていないといけないと思いますけれども、実際の被害に遭ったときの運用そのものはやはり八幡浜市単独ではできませんので、国、県、大きい枠組みの中でやると、大きい中で方向が示されておれば、ある程度その中で動くべきであって、それを逸脱した格好で八幡浜市単独で特別な契約を結ぶのはなかなか困難であるし、今言われたように200キロ以上遠いところに土地を構えろというのは、事実上それが実現できるか、今の段階で余地もありますので、それは被害に遭った段階の事故の状況に応じてまた国、県と、今言われた状況が発生したときに協議していくのが一番適当ではないかと思います。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  国、県などの決まりがあると、それを超えて八幡浜市としての単独のことはできないというお答えでした。それは確かにそうなんですが、実際に国が責任を持つと言われているにもかかわらず、苦労している福島の現実があるわけですから、そこからなるべく学んで、今の仕組みを再検討していくべきだと思います。そのことを申し上げて、次に移ります。
 4つ目に、12月議会の私の一般質問で、安定ヨウ素剤を事前に配布しておくべきではないかとの質問をした際、理事者のほうからは、緊急時に一時集結所において、医師の指示のもとヨウ素剤を配布することは、原子力防災訓練の結果なども踏まえてもスムーズに進むか大きな懸念がある、このことを国、県にも指摘しているが、事前配布については薬事法の制約と国の原子力災害対策指針、県の広域避難計画により、原則として安定ヨウ素剤の事前配布は5キロ圏内の住民となっていることから認められていない状況だと、引き続きこのことを指摘しながら、可能になるよう努めていきたいとの答弁でした。
 その後も国や県との交渉を行っていると聞いていますが、その後どのようになっているか、進展はあるのでしょうか、お答えください。
○議長(新宮康史君)  総務課長。
○総務課長(藤堂耕治君)  お答えします。
 伊方発電所から5キロから30キロのUPZ圏に位置する当市では、原子力規制委員会が原子力施設の状況や緊急時モニタリング結果などを考慮して安定ヨウ素剤の配布、服用を指示することとなっており、これを緊急配布と言います。医薬品である安定ヨウ素剤の配布には、医師、薬剤師等による問診が必要であり、緊急配布では、原子力災害が進展した場合、円滑な避難等の妨げになるおそれがあるため、事前配布に向けての協議を県と行っているところです。
 しかし、時間がかかるという抽象的な話ではなく、個別具体的な理由が必要であるとのことから、放射線に対する感受性が高い18歳以下と離島の大島地区に絞った協議をことし4月に行いました。
 国の指針が影響を受けやすい人を対象としていないこと、大島には防護施設が設置されていることなどにより、今回も事前配布は見送られましたが、引き続き協議を重ねてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  実際の避難訓練をしてみて、その事故が起こった際に医師を呼んで、そして問診をして、服用をするというのは非常に困難であると、それは明らかであります。それで、スムーズにいかないおそれもあり、県の広域避難計画自体をこの実態に即したものに改めるよう求めていくべきではないかと思います。医師にも配布する職員にも負担が大きい、そして福島の子供の甲状腺がんは196人を超えています。一度手術した大学生が再発している例もあると聞いております。市民の被曝のリスクを少しでも下げるために、さらなる努力をお願いしたいと思います。
 では、次、5点目ですが、八幡浜市は現在、県、四国電力と伊方原子力発電所周辺の安全確保に関する覚書を結んでいます。この覚書によれば、原子力発電所の主な施設などを設置や変更、土地取得などする際は、その計画に対して八幡浜市に意見を求め、当市は四電に説明を求めることができるとなっています。そこからさらに進んで、伊方町と同等の立場になるよう、大洲市、西予市など、避難計画の作成を義務づけられた周辺自治体とも連携し、事前の協議に加わり、了解が必要な安全協定を結ぶよう努力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(新宮康史君)  市長。
○市長(大城一郎君)  福島の事故後、当市として、伊方原子力発電所周辺の安全確保等に関する覚書の改訂を県、四国電力と交渉し、最終的に覚書第4条第1項の愛媛県は四国電力から安全協定第9条の協議があった場合は八幡浜市の意見を求めるものとするという現在の形となったものです。この結果、当市の意見が単なる任意の見解表明ではなく、覚書に基づくものとして根拠づけられることとなり、隣接自治体として一歩前進したところと受けとめています。
 立地自治体と同レベルの安全協定を締結することについては、当事者それぞれの同意が必要であり、お互いの信頼醸成も図りながら、他地域の例も参考に、これは今後の課題とさせていただきます。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  一歩前進から、さらにもう一歩前に進んでいっていただきたいということであります。
 ことしの3月29日に東海第二原発のある東海村と周辺5市が茨城県を加えた新安全協定を結びました。立地する東海村に加え、周辺5市とも事前協議を重ね、事前の了解を得ることが明記されました。
 また、島根原発の30キロ圏自治体である出雲市長、雲南市長も事前の了解権限を含む安全協定を求めることを表明しました。
 国は福島原発事故後、避難計画を策定する自治体を、8キロから10キロ圏から30キロ圏に拡大しました。それは事故が起これば影響は立地自治体だけにはとどまらないからです。そうであるなら、周辺自治体にも同等の権限を与えるべきだと思います。覚書や安全協定の中にももし疑義を生じたときには誠意を持って協議して定めると書かれています。伊方町のような交付金も当市には来ていませんし、リスクだけは同等である当市において、この疑義を生じる理由は十分にあると私には思えます。
 3号機が停止している今、県や四電、周辺自治体との話し合いを始めるべきではないかと思いますので、一層の御検討をお願いいたします。
 次に移ります。
 2つ目に、乾式貯蔵についてお伺いいたします。
 四電は5月25日、伊方原発敷地内に使用済み核燃料1,200体を保管できる乾式貯蔵施設を2023年度の運用開始予定でつくる計画を発表しました。四電は、一時貯蔵であることを強調したとのことですが、福井県敦賀市にある原子力核燃料サイクル高速増殖炉もんじゅは、たび重なる事故のため、2016年に廃炉が決まりました。青森県六ヶ所村にある核燃料再処理工場もトラブルが相次ぎ、平成30年度上期完成予定から34年度上期に延期されました。延期はこれで24回目ということです。
 現在、使用済み核燃料の持っていき場がない状態であり、伊方原発敷地内への一時保存が永久化、固定化されるのではないかと懸念が広がっています。四電は1号機の廃炉を決定し、そこから出た使用済み核燃料を3号機のプールへ保管するとしています。そして、2号機も廃炉が決定しました。2号機から出た使用済み核燃料を仮に3号機へ入れれば、3号機のプールはいっぱいになり、3号機は再稼働できなくなるおそれがあると思います。そのために乾式貯蔵施設を新設したのではないか、再稼働、3号機を動かすために貯蔵する場所を確保したのではないかと思われます。
 そこで、お伺いします。
 使用済み核燃料の最終処分地として永久化、固定化されるおそれがあることについてどうお考えでしょうか。市として反対を表明していただきたいが、どうでしょうか。
○議長(新宮康史君)  総務課長。
○総務課長(藤堂耕治君)  お答えします。
 国、県ともに一時的な保管であるとの立場を貫いており、将来固定化されることは現時点では想定しておりません。
 以上でございます。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  乾式貯蔵施設は、3号機をこれからも動かすための担保であると考えます。今後、第2の貯蔵施設が追加で建てられる可能性も考えられます。いずれは廃炉を目指すでは、いつまでたってもこれはとまりません。中間施設が永久施設にならない保証はないと思います。私は乾式貯蔵施設は受け入れるべきではないと思います。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。
 乾式貯蔵について、市の職員は東海原発の乾式貯蔵施設の乾式キャスクを視察してきたということですが、見られて、耐久性などについてお聞かせください。
○議長(新宮康史君)  総務部長。
○総務部長(新田幸一君)  お答えします。
 伊方発電所で使用が予定されている乾式キャスクは、設計において60年間の安全性が十分確認されているものと聞いております。
 また、分厚い金属で製造されているため、使用済み燃料の放射線量を100万分の1にまで減衰するとともに、二重のふたなどによりしっかりと密閉することができるものと聞いております。
 東海原発のものと変わるかについては、伊方発電所が貯蔵、輸送兼用であるのに対し、東海原発は貯蔵専用で40年の設計となっております。両者とも定められた基準のもとに設計され、つくられるものですので、基本的な仕様は同様であると聞いております。
 本議会においても、現在、乾式貯蔵や廃炉作業を行っている東海発電所への視察のための予算を計上しており、現地において実物を見、説明を受け、状況を把握いただきたいと考えております。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今言われましたように視察の補正予算がついたこと、そして恐らく今後、乾式貯蔵施設についての市主催の説明会が開かれると思います。そこでもこの冷却プールで冷やし続けるよりも、乾式のほうが安全だという話になるのではないかと思います。
 しかし、広島高裁仮処分決定で阿蘇山の火砕流到達の危険性が指摘され、原発自体が立地不適切とされました。原発が不適切なら、乾式貯蔵施設も立地不適当ではないかと思います。そういった意味でも、私は乾式貯蔵施設の建設には反対であります。そのことを申し上げまして、次に移ります。
 3番、脱原発のまち八幡浜市をということで質問をいたします。
 先日、5月31日に行われました地域経済活性化フォーラムin八幡浜において、伊予銀行さんが八幡浜ブランドを本気で構築し、各分野の政策を一体感を持って進め、ブランド価値向上で好循環を生み出せとの提言をされました。
 しかし、福島の原発事故が起こった今、伊方原発が八幡浜市のすぐ近くに稼働していては、幾ら太陽と海と段々畑などとよいイメージを打ち出そうとしても、この原発のリスクが移住希望者が当市を選ばない大きな理由の一つになるのではないかと思います。もし本気で八幡浜ブランドを全国に、そして世界に売り出したいのなら、観光や移住を進めたいのなら、ほかの市町村に先駆けて脱原発に積極的に取り組むまち、再生可能エネルギーの先進地八幡浜として再生させ、この一見マイナスの原発、これを前向きな明るいイメージに転換する、そして全国に売り出すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(新宮康史君)  副市長。
○副市長(橋本顯治君)  再生可能エネルギーにつきましては3月市議会で遠藤議員の御質問にお答えしましたが、今年度、当市の地域特性や産業特性を踏まえた産業活性化、新規産業の創出、防災対策に寄与する八幡浜市地域エネルギービジョンを策定することにしています。その中で、当市のような自治体で再生可能エネルギーをどのように導入することができるのか、検討していきたいと思います。
 なお、エネルギーの問題は単独の市町の枠内で完結するわけではありません。再生可能エネルギーのメリット、デメリット、その可能性と限界を見定めながら、国全体で国民生活や産業をどのように維持していくのかを念頭に考えていくべきものと思っています。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  6月補正予算でこの再生可能エネルギーの研究の予算がついたことは大変喜ばしいことだと思います。そして、八幡浜地域エネルギービジョン、これも検討したいということで、これも賛成でありまして、私もできることを協力していきたいと考えております。
 伊方原発3号機は私はこれ以上動かさず、廃炉を求めたい、廃炉ビジネスでこの地域の雇用も守れます。廃炉事業の先進性をアピールし、再生可能エネルギーがもっと普及するような方向へ進んでいってほしい、障壁となっている送電網へ接続する際の新たなルールづくりなど、国に求めていく必要があると思います。市民の命と暮らし、財産、安全性を最優先にする町にしようと思えば、そして経済の面から考えても脱原発の方向へ行かざるを得ないと私は思います。その方向へできる手を打っていくことをさらに求めて、原発については終わりたいと思います。
 次に、大綱2、誰もが自分らしく生きられる社会をと題しまして質問させていただきます。
 まず1点目は、人権啓発についてです。
 日ごろの熱心な人権啓発活動に敬意を表します。私は、今ほど人権教育が必要とされているときはないのではないかと思います。
 職場、仕事上の関係などでパワハラ、セクハラが起こっても、弱い立場にいる人が声を上げづらい状況が日本に限らず世界でもまだまだあると思います。それはセクハラや性的被害を告白する#Me Too、この運動がインターネットを中心に世界的に広がり、アメリカではハリウッドの大物プロデューサーがセクハラ被害者から告発されるなど、世界共通の根深い問題であることを示していると思います。
 また、4月には、財務省の事務次官が取材に当たった女性記者にセクハラ行為を行っていたと告発されました。この方は、音声データの証拠を示されても、なかなか認めようとはしませんでした。麻生財務大臣は、セクハラ罪という犯罪はないなどと発言し、セクハラは大した問題ではないかのような発言をしたとしました。
 しかし、セクハラは人権侵害であり、刑事事件に問われる事例もある大きな問題です。権力を持つ人、公的立場にいる人は特に、そして私も市議として全ての人の基本的人権を守り、みずからが率先して人権意識を高めていく義務があると思います。
 そしてまた、日大アメフト部による反則行為も、その奥には監督やコーチの命令には、たとえ相手をけがさせてこいなどという間違った命令でも学生は監督には逆らえない、権威者には逆らえない絶対服従の関係、自分の意見を言いにくい縦社会、日本のアマチュアスポーツ界、そして日本社会全体に潜む人権侵害の問題が浮き彫りになった事件だと感じました。
 そのほかにも、男女間の職場での昇格、昇給などの格差、障害者や人種、民族、宗教、思想・信条、セクシュアルマイノリティーの問題など、あらゆる人の基本的人権が守られ、全ての人が個性や立場の違いを認め合い、尊厳を持って自分らしく生きられる社会にするための課題はまだまだたくさんあります。人権啓発課として一層の努力をしていただきたいと思っております。
 しかし、現在の人権啓発課としての取り組みが予算の面でも、取り扱う問題においても、同和対策に偏っているのではないかと疑問視する意見もあります。もちろん同和問題の解決を求めることは重要ですが、同和地区のインフラ問題など一定のめどがついた今、人権問題イコール同和問題のような狭いところにせず、全ての人の人権を守り、全ての差別を本気で根絶するための人権啓発活動でなければならないと思います。
 そこで、2つお聞きします。
 1つは、人権啓発活動として現在どのような取り組みをされていますでしょうか、お願いします。
○議長(新宮康史君)  人権啓発課長。
○人権啓発課長(藤原賢一君)  当市では、あらゆる差別をなくし、もって差別のない明るく住みよいまちづくりを実現することを目的とした八幡浜市人権尊重のまちづくり条例が制定されています。これを受け、八幡浜市人権教育協議会を核として、地域ぐるみの人権同和教育推進体制を確立するため、行政、学校、公民館、家庭、企業など、関係諸団体との連携強化を図り、実践活動の充実に努めています。当協議会では、市内の全ての地域において、中学校区ごとにブロック別人権教育協議会を設け、人権講演会、人権コンサートなどの開催、地区公民館における人権問題学習講座の実施等、人権同和教育並びに人権啓発に努めています。
 2月には、約800人の参加により、市人権・同和教育研究大会を開催し、児童・生徒の人権尊重作文の発表、各種団体の取り組みの発表、人権啓発講演を実施しています。
 このほか、調査広報活動、公民館、企業、職域等における人権問題学習の実施、人権・同和教育推進者研修会、人権尊重作品集等の啓発資料の作成、配布など、多くの事業を展開し、身近な問題解決から具体的な一歩を踏み出せるよう、人権啓発活動に取り組んでいます。
 また、市内にある3つの隣保館では、小学生等を対象として来館視察研修を実施し、会館の役割や人権同和問題を学習しているところでございます。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  さまざまな今取り組みをされているということです。
 それでは次に、あらゆる差別をなくすために今後はどのような取り組みをされる予定か、お願いいたします。
○議長(新宮康史君)  人権啓発課長。
○人権啓発課長(藤原賢一君)  身の回りには同和問題、障害者、女性、子供、外国人、高齢者等への人権侵害、性的マイノリティーに対する差別、インターネットを悪用した人権侵害など、さまざまな人権問題があります。
 平成28年度には、差別を解消するための人権3法と言われる障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ対策法、部落差別解消推進法が制定されたことを受け、あらゆる差別の解消に向けた取り組みを一層推進するため、職場や地域等において人権問題について学習する機会を設けていただくよう働きかけていきたいと考えています。
 人権教育の推進者のための研修会では、平成26年度にはトランスジェンダー活動家の杉山文野氏による性的マイノリティーに対する理解を深めるための講演会を、昨年度は熊本学園大学の東 俊裕教授による避難所における障害者が抱える問題等の講演会を実施しており、今年度も7月30日に、スクールソーシャルワーカーの幸田裕司氏による子供の人権を考える講演会を開催することとしております。
 また、来年2月16日に開催される市人権・同和教育研究大会では、幼少期に失明し、全盲となった岡山県立岡山盲学校元教頭の竹内昌彦氏によるいじめや障害者差別に関する講演会を開催するなど、今後も講師の選定や研修内容の充実に努め、人権意識の向上を図っていきたいと考えております。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  先ほど人権問題が同和問題だけのようなことにはならないで注意していただきたいと言いましたけれども、この同和問題が人々が人としての権利を主張するときに、それを分断する役割を果たしてきたなど、歴史的経緯などがあります。私もこのことを勉強しようと始めたんですけれども、とても奥が深く、まだまだ勉強不足であります。ですから、本日はこの問題提起にとどめ、この程度にいたしまして、本気で差別をなくすためにはどのような手だてが必要であるのか、そのことをまた次の機会に改めて質問させていただきたいと思いますので、1番についてはこのくらいにさせていただきます。
 次に、個性を伸ばす教育をということで御質問いたします。
 学校教育関係者の皆様には、日ごろ教育行政の熱心な取り組み、また現場の教職員の方々の取り組みに敬意を表するものです。
 しかし、本日はそのあり方に少し一石を投じる問題提起をさせていただきたいと思います。
 私は、この八幡浜市で育ちましたけれども、県外にしばらく出ておりました。そして、久しぶりにこのふるさと八幡浜市に帰ってきまして、小・中学校の入学式に出席する機会がありました。その中で最も違和感を覚えたことは、小・中学校の入学式、卒業式などの式典において、児童・生徒が入退場、また前に出たり、自分の席に戻るなどの行動の際に、一々とまって、角を90度に曲がり、手を地面と水平にまで上げ、長時間のおじぎなど、まるで軍隊的とも思える前時代的といいますか、そのような行動をしていたことでありました。
 姿勢正しく元気よく行動することはすばらしいことだと思います。しかし、今のやり方は少し行き過ぎではないかと感じました。いろんな人に聞いてみますと、市内の多くの小・中学校で同様の指導がされ、参加した父兄の中にも、びっくりした、違和感を覚えたという声が少なからずありました。私自身市内の小・中学校に通っていた子供のころは、式典の際、今のような行動は行っていませんでした。普通に歩いて、おじぎなどはきちんと丁寧に行い、普通に歩いて戻っていました。
 ちょっと言葉だけではわかりにくいと思いますので、やってみたいと思うんですが、お許しいただけますでしょうか。
○議長(新宮康史君)  許可します。
○遠藤 綾君  うまくできたとは思いませんが、これが幼い子供から全ての子がこういう行動をされているということで非常に驚きました。そして、違和感を持ちました。小・中学生のうちからこのような集団行動を指導され、自分の意見が先生と異なっていた場合など、先生に対して自由に意見を言える雰囲気になるのかなと疑問を持ちました。軍隊のような目上の者に対して絶対服従のメンタリティーの人になってしまうのではないかと危惧します。成長して社会に出たとき、上司に対して違和感を覚えたとき、きちんと自分の考えを伝え、説得できる人になれるのかなと、これからの時代、よい会社に入り、よい地位につけば一生安泰というわけにはいかなくなってきています。倒産、リストラ、転職、セクハラなど、トラブルに巻き込まれる可能性もあります。そんなとき、自分とは立場や育ってきた背景が違う人たちの中で、自分の尊厳を守りつつ、自分の考えを説得力を持って話す力が、これからの時代、必要な力の一つではないかと考えます。
 憲法第13条で、すべて国民は、個人として尊重される、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限の尊重を必要とすると定められています。また、子供の基本的人権を国際的に保障する児童の権利に関する条約、通称子どもの権利条約では、たとえ18歳以下であっても、自己の意見を表明する権利、表現の自由、思想、良心、宗教の自由などについても尊重することが定められています。日本もこの条約に批准しています。
 そういった意味で、一人一人の子供の個性を自由に伸ばす教育へ、八幡浜市の子供たちへの指導のあり方を見直すべきではないかと思います。
 その意味で4点お聞きいたします。
 まず、式典時の集団行動のあり方について見直すべきではないかと思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
○議長(新宮康史君)  教育長。
○教育長(井上 靖君)  お答えします。
 卒業式、入学式などの式典時においては、通常時とは違う晴れの舞台のため、儀式的な立ち居振る舞いになり、それを軍隊的とお感じになったのではないかなと思います。
 学校行事には、文化的行事や健康・安全・体育的行事、勤労・生産・奉仕的行事などがあります。卒業式や入学式などの儀式的行事は、学校生活に有意義な変化や折り目をつけ、厳粛で清新な気分を味わえ、新しい生活の展開への動機づけとなるようにすることが狙いとされています。したがって、規律ある集団行動が求められる面がありますが、集団行動を行うことにより児童・生徒たちの個性を損なうことにはつながらないものと考えています。自分の意見は主張する、学校はそれができる自由な環境をつくり、集団の中で統一した行動をとるべきときはとるという指導のバランスは両立できるものと考えております。
 今後とも、学校の特色、また児童・生徒の創意工夫を生かしながら、儀式的な行事などに取り組むよう指導に努めていきたいと考えます。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  今のを見て感じ方は人それぞれという面もあります。
 ただ、私がこの問題の奥に隠れている問題として、2006年第1次安倍内閣のとき、教育基本法が改正され、それまでは教育の目標としては一人一人の子供たちの人格の完成、そして平和的国家及び社会の形成者、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじて、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成などが掲げられていましたが、国を愛する態度など20に及ぶ徳目を列挙するような内容に大幅に変えられたという経緯があり、それによって学習指導要領も変わってきたというような経緯も存在していると思います。そのようなことを私は感じ取りました。
 時間がなくなってまいりましたので、まとめて今のようなやり方をどういった地域でやっているのか、私なりに調べましたら、南予に特に多く、大洲市、宇和島市がやっていました。そして、松山市や東予の市ではそういうことはしていないということでした。今の式典のあり方をもし動画に撮って、インターネットで流すようなことはしませんが、もし世界の人が見たら驚くのではないかと思います。ですので、見直していただきたいと重ねて要望申し上げまして、この質問は終わらせていただきたいと思います。
 では、大綱3番、国保についてお伺いします。
 まず1つ目は、国保の都道府県化についてであります。
 2018年4月から国保の都道府県化がスタートしました。これまで国保は各市町村が単独で運営してきましたが、今年度から市町村と県が共同で運営する制度となりました。新制度移行後も、県が示した標準保険料率を参考に市が国保税の額を決め、住民から集めるとのこと、一方国保の財政は県が管理するようになりました。県には各市町村の国保税の算定式や集め方、医療給付費の水準について指導し、意見を言う権限が与えられたと聞いています。国保の都道府県化について4点お聞きします。
 まず、どこがどのように変わったのか、お願いいたします。
○議長(新宮康史君)  市民課長。
○市民課長(坂井浩二君)  平成30年度より都道府県を国保の財政運営の責任主体とする国保改革が行われ、医療費の支払いは全額県から交付されるため、愛媛県へ納める国保事業費納付金と保健事業費等を賄うためだけの財源として必要な額を国保税に求めることになりました。国保の被保険者である市民の皆さんの資格管理と保険給付はこれまでどおり市が窓口であり、国保税も市が税率を定め、賦課徴収を行います。
 変わった点は、保険証の各表記で、これまで国民健康保険被保険者証だったものが、愛媛県国民健康保険被保険者証となり、保険者八幡浜市が交付者八幡浜市となります。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  変わったことは表記が変わっただけということですが、一般会計からの繰り入れなども前回の私の質問のときに検討したいというような回答があったと思いますが、通告してないんですが、それについて何か変更はありますでしょうか。
○議長(新宮康史君)  副市長。
○副市長(橋本顯治君)  今のところ、保険財政は現在の保険料率で賄えていますけれども、制度分の繰り入れ以外は、やはり高齢者が増加してきて保険料が余りにも高くなるような状況があれば、いずれ将来的には保険料、国保会計に対して一般会計からの繰り入れもせざるを得ない時期が来るのではないかと、そんなことを前回お話ししたと思いますけれども、その考えは今のところ変わってはおりません。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  国保財政の管理者となった県が6年を1期とする国保運営方針を定めて、その方針によって市町村の国保行政のあり方を指導していくことになるということなんですが、この運営方針の眼目としては赤字削減の名目ということですが、来年度の国保税の保険料はどうなりますか。また、来年度以降の国保料はどうなる見込みでしょうか。
○議長(新宮康史君)  市民課長。
○市民課長(坂井浩二君)  この6月に上程しております国保税率改正案は、調定ベースで1人当たり10万1,730円で、現行と比較しまして4,700円、4.4%の減であります。
○議長(新宮康史君)  市民福祉部長。
○市民福祉部長(舛田昭彦君)  引き続きまして、来年度以降の見通しはということをお聞きされましたので、それに対して私のほうからお答えさせていただきます。
 国保税につきましては、愛媛県に納める国保事業費納付金と保健事業費等を賄うための財源として必要な額を賦課徴収します。毎年、課税所得が把握できる4月末ごろより試算を行いますので、現時点で見込みを立てることはできません。
 ただし、納付金は医療費が増大する状況下では当然負担は増加しますので、国保税のみを財源としている人間ドックの事業などを廃止しまして、補助金や交付金がある事業に変えるとともに、特定健診受診率向上や生活習慣病予防保健指導などで医療費を抑制し、国保税への転嫁がなるべく少なくて済むよう考えております。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  この国保の問題には全国知事会などの地方団体から国保の構造問題を指摘する声が多く寄せられたということがあります。国保税が協会けんぽや組合健保の保険料に比べて異常に高いことです。例えば、年収400万円の4人家族の子供2人の世帯が国保に加入した場合、41万円から40万円台で全国、東京などでもなります。それが健保協会に加入した場合は、全国的に20万円という試算です。ですので、約2倍の国保税であります。そして、年収180万円のフリーターが国保を払う場合は、15万円から14万円前後ですが、この方が健保協会に加入の場合は8万円から9万円、全国であるということですから、国保の高さは際立っています。
 この国保の高騰は、加入世帯の貧困化や高齢化、国の予算削減などであります。農林水産業や自営業が占めていた最初のころに比べて無職や非正規などがふえて、所得も270万円から138万円に減っています。
 こういった国保の現状を見ると、社会的弱者の医療制度と言わなければならないと思います。その結果、病気でお金のない人が医療を受けられず、重篤化する、そして困窮する人が餓死、自殺に追い込まれるなどの事例が各地で起こっております。こういったことを起こさないように、これ以上住民の負担をふやさない、その方針を目指していただきたいと申し上げまして、次に移ります。
 2つ目は、税徴収のあり方です。
 宇和島市では現在、国保の保険料滞納者に嘱託職員8人が徴収係として訪問徴収していると聞きました。八幡浜市では、現在は訪問していないということですが、この例を参考に、訪問しての徴収を行うべきではないでしょうか。
 また、以前はしていた、そして今はしていないということですが、その体制の違いと変更した理由、経緯について教えてください。
○議長(新宮康史君)  税務課長。
○税務課長(井上慶司君)  2点御指摘がありましたので、お答えします。
 まず、宇和島市での嘱託職員の話ですが、議員御指摘のとおり、宇和島市では国保関係の徴収専門の嘱託職員を8人雇用して、滞納者宅を訪問しているとのことですが、新たな費用が必要となるため、今のところ、当市では考えておりません。
 なお、債権管理室設置の際には、金融機関OBで債権回収経験者を嘱託職員として雇用したことはあります。
 現在市では、税の自主納付という観点から、原則として訪問徴収は行っておりませんが、連絡のあった方に対しては職員が親身になって納付の相談を受けております。体の不自由な方から連絡があった場合などは訪問徴収を行っており、訪問時に今後、御本人の納付の手間がなくなるよう、口座振替をお勧めしております。
 次に、以前と現在の徴収体制の違い、その変更理由ということですが、訪問徴収を主として行っていたのは平成20年度までです。当時の体制としては、徴収係が正職員7名で、4月から5月にかけて滞納者に対して電話催告や臨戸訪問をしていました。現在は、正職員5名で徴収事務に当たっておりますが、庶務係も兼務している状態で、訪問徴収は原則行っておりません。
 訪問徴収をやめた理由ですが、平成18年に愛媛地方税滞納整理機構が設立され、本市から同機構に2年間派遣され、滞納整理の専門的な知識を身につけた職員が税務課に配属されたことをきっかけに、訪問徴収から、差し押さえが可能か、財産調査をする方式に変わっていったものです。
 訪問徴収を実施していた当時は、財産調査、滞納処分等の知識、ノウハウがありませんでした。そのため、実際に財産があるかどうかではなく、相手方との折衝で得た話をもとに納付を依頼する程度にとどまっていたため、訪問するものの徴収率の向上に結びつかない状況が続いておりました。それに対し平成21年度からは、滞納整理機構などで学んだ専門的な知識を生かした財産調査により財産の有無を確認し、その情報に基づき滞納処分の執行または停止を行うようになりました。この結果、徴収可能なところからは徴収できるようになり、徴収率も向上したため、現在に至るまでこの方式に基づいた業務を行っております。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  給与の差し押さえに関して、これだけは口座に残しておかなければならないと定められた限度額があると思いますが、それに関してどうなっていますでしょうか。
○議長(新宮康史君)  総務部長。
○総務部長(新田幸一君)  お答えします。
 差し押さえのうち、給与については国税徴収法により差し押さえ禁止額が定められているため、承諾があるなど特別な場合を除き、禁止額を上回る給与支給額がなければ差し押さえは実施しておりません。給与差し押さえ時の具体的な禁止額としては、基礎控除額10万円、その他扶養控除額1人につき4万5,000円が基本的なものです。
 このように、全ての財産に対し一律に差し押さえしているのではなく、一定の基準に基づき差し押さえ可能かどうかを適宜判断をしております。
 以上です。
○議長(新宮康史君)  遠藤 綾議員。
○遠藤 綾君  給与の限度額について配慮しているということですが、私のところに相談に来られた方の例ですと、個人事業主の方で従業員を数人雇っている人が、仕事の売上金が入る口座に給与、生活費などを入れていて、いきなり全額差し押さえられ、その日暮らしていくお金もなくなって相談に来られたと、結局その方は生活保護を受けることになり、税の徴収がそれ以降はできなくなったという事例があります。
 滞納があった場合、督促状などを郵送しただけで相談に来ない方、そういう方には事情がさまざまございます。財産調査をして、そして差し押さえる、訪問をすればもっと傷が浅い段階で対応ができる税金の徴収係を置くべきではないかと思います。
 私自身の例で言いますと、以前、前の職場で働き過ぎで心身の体調を崩し、仕事を長期間休み、退職し、そのときから国保の支払いが重くのしかかったということがありました。そして、どうしたらいいのか途方に暮れたということがありました。ですから、そういった場合に、もし困ったことがあれば相談に来てくださいと一筆書いてあるとか、相談すれば分割に応じるなどの改善策などのアドバイスが受けられれば、もっと早い段階で助かったということがあったと思います。
 そういう意味で、機械的に今のやり方をやって徴収率が上がったということですが、それと前のよい面もあると思いますので、訪問すればその方の困った事情が聞けるわけですから、温かい対応を目指していただきたい。嘱託職員が訪問して事情を聞く、必要であれば生活相談などを紹介する、生活保護などを紹介する、そのような対応をしていただきたい。税徴収の専門係をぜひつくることを御検討いただきたいと、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ちょっと急ぎ足になって済みませんでした。以上で終わります。

お問い合わせ

議会事務局
住所:愛媛県八幡浜市北浜一丁目1番1号
TEL:0894-22-5998
FAX:0894-22-5963
このページの先頭へ戻る