2.関係計画と事前調査について

記事番号: 1-1017

公開日 2022年09月14日

地中熱エネルギーは、当市で想定される地域エネルギーとして検討されたものです。日本が目標としている2050年カーボンニュートラル社会の実現には、持続可能な電気を作ることも重要ですが、電気の使用量そのものを削減する必要があります。そのため、すぐ足もとにある地中熱エネルギーなどを積極的に利用することが、持続可能な地域社会の実現にもつながると考えています。

関係計画

八幡浜市の計画体系図(小)
図1 八幡浜市の計画体系図

(1) 八幡浜市地域エネルギービジョンを策定(平成31年4月策定)

「八幡浜市環境基本計画」を上位計画とする「八幡浜市地域エネルギービジョン」を策定し、当市において重要な再生可能エネルギーの一つとして「地中熱エネルギーの利用」を位置づけました。

(2) 再エネの導入による地域資源を活用した地場産業活性化可能性調査(令和2年度実施)

エネルギービジョンの中で、3つの方向性に適合し、「想定される地域エネルギー事業」として記載している2つの事業についてF/S(フィジビリティスタディ)調査※1を実施しました。

その結果、市民スポーツセンターに地中熱を導入する際、一次エネルギー量換算・CO2排出量の2つの指標で約3割の削減が見込めるとの結果を得ました。TRT試験※2では、一般的に熱伝導率1.2~1.7 W/m・K 程度とされる中で、熱伝導率3.26 W/m・Kと非常に高い数値となり、地中熱を導入する際大変有利な条件であることが判明しました。

また、佐賀県での先進地視察では、行政が中心となり地域産業をエネルギー構造の転換の影響から守る必要性や、地中熱システムの導入において目に見えない部分が大半をしめることから「見える化」の工夫の必要性について認識することができました。

※1 F/S(フィジビリティスタディ)調査・・・実現可能性を事前に調査・検討するもの。

※2 TRT(Thermal Response Test)試験・・・一定加熱・温水循環方式応答試験。地中熱ヒートポンプシステムの設計において必要となる地盤の見かけ有効熱伝導率(λa)と地中熱交換器の熱抵抗を求めるために行う試験。

(3) 地中熱を核とした再エネシステムの地場産業化調査・研究事業(令和3年度実施)

R2年度に実施した地中熱利用の導入可能性調査結果を踏まえて、市民スポーツセンターへ地中熱を利用した空調システムへの更新にかかる詳細設計を行いました。地中熱システムの導入を推進するため、地元事業者に声掛けを行い、専門家を招致した勉強会を2回にわたり開催し、普及拡大に向けた知識の理解促進に取り組みました。

事業の詳細

各年度の事業の詳細はこちらをご覧ください。

「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業」補助金を活用した事業の評価報告書を公表します。

事前調査

当市では地中熱システムの導入事例がこれまで無く、一番近くでも40km離れた伊方町の観光交流拠点施設「佐田岬はなはな」の事例のみしかありません。そのため、当市の地中熱の正確なポテンシャルを調査するため、市民スポーツセンターに隣接する駐車場内に、1本分の掘削を行い、実際に熱応答試験(TRT)を実施し、地中熱システム導入の効果を推定する調査を行いました。(熱応答試験で使用した井戸は、地中熱交換器の1本となります。)

調査結果では、期待される効果を十分に得られる数値であったことから、翌年度に具体的に市民スポーツセンターへ地中熱システムの導入するための詳細設計を行い、あわせて地中熱利用システムに関する理解を促進するために、地中熱の研究機関である国立研究開発法人:産業技術総合研究所・福島再生可能エネルギー研究所(以下FREA)より専門家を招き勉強会を実施しました。

勉強会で当市を訪問した専門家より、当市は地下水の流れが比較的浅い位置にあることや、急峻な山々に囲まれているため地下水流動も期待されることから、FREAが民間企業と共同研究し開発した「地下水移流効果を有効利用した高効率地中熱交換器」の提案がありました。その後、検討を重ね市民スポーツセンターへは、同規模では世界的にも初めてとなる「地下水移流型(=セミクローズドループ方式)」を採用することとしました。

地中熱交換器システムの比較(小)
図2 地中熱交換器システムの比較

 

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市民福祉部 生活環境課
郵便番号:796-8501
住所:愛媛県八幡浜市北浜一丁目1番1号
TEL:0894-22-3115
FAX:0894-22-5990

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