松村正恒氏は、昭和22年に八幡浜市役所の職員となって土木課建築係に勤務し、昭和35年に退職するまでの約13年間に、多くの優れた学校建築や病院関連施設などを設計した。建築雑誌や『建築学大系』などの書物に作品が紹介され、昭和35年には『文藝春秋』誌で、村野藤吾、前川國男、丹下健三らとともに日本を代表する10人の建築家の一人として紹介され、その名前は広く知られるところとなった。 松村氏は、八幡浜市において、日土小学校、江戸岡小学校、神山小学校などの学校建築や、市立病院、図書館、公民館施設など多くの公共建築を設計しており、教育施設では、独特の配慮に基づいた優れた設計により、子供たちに豊かな教育環境を提供した。松村氏が設計した日土小学校中校舎(昭和31年竣工)、東校舎(昭和33年竣工)は、平成11年に「ドコモモ」日本支部により日本のモダニズム建築20選に選ばれ、平成24年4月には日本建築学会賞を受賞、同年11月にはワールド・モニュメント財団が2年に一度授与しているノール・モダニズム賞をニューヨーク近代美術館において受賞した。さらに、木造のモダニズムの優れた作品として高い価値を有するとして、平成24年12月に、戦後の木造建築としては初めて国の重要文化財に指定されるなど、優れた教育施設として全国から注目されている。
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