○八幡浜市環境基本条例

平成24年9月25日

条例第29号

私たちは、八幡浜の恵み豊かな自然の下で、多くの生命、歴史、夢を育んできた。

美しく澄み渡った空の下、蒼く広がり豊富な生命を育む宇和海と瀬戸内海に面し、夏には碧深く、秋には黄金色の果実を携え眩く輝く山々が私たちを取り囲み、温暖な気候は私たちの生活に大きな恩恵を与えてくれている。

かつては、二宮忠八翁が大空に夢を想い描き、アメリカ大陸に夢を馳せた打瀬船は、太平洋を渡っていった。この恵み豊かな自然は、先人たちに大きな夢をも与えた。

しかしながら、私たちを取り巻く環境は、大量生産、大量消費、大量廃棄による社会経済活動が拡大し、地域の環境に影響を与えるばかりでなく、地球温暖化、オゾン層の破壊、生物多様性の喪失などの問題を引き起こし、地球規模で環境を脅かすまでに至っている。

温暖な気候、豊かな自然、全国に誇れるおいしいミカンとさかな、そして心温かい人々、このすべてが八幡浜の財産である。健全で豊かな環境の下、健康で文化的な生活を営むことは、現在及び将来の市民の権利であり、この環境を守り、育て、将来の世代に引き継いでいくことは、私たちの責務である。

このような認識の下に、人をはじめすべての生物が健やかに生存することができるよう、かつての澄んだ空、蒼い海、深い森、きれいな水を取り戻すとともに、より良好な環境を創り出し、環境への負荷の少ない八幡浜を持続的に発展させるため、ここに、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民が安全かつ健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境 現在及び将来の市民が安全かつ健康で文化的な生活を営むことができる生活環境及び自然環境等をいう。

(2) 環境の保全及び創造 環境を快適かつ安全な水準に維持し、恵み豊かな環境の恩恵を受けられるよう、良好な環境をつくり出すことをいう。

(3) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(4) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の安全かつ健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が安全かつ健康で文化的な生活を営むことのできる良好な環境を確保するとともに、これを将来の世代に引き継いでいくことを目的として行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、自然の生態系に配慮するとともに、自然環境を適性に維持し、向上させることによって、人と自然が共生し、循環を基本とする環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を目指し、市、市民及び事業者がそれぞれの役割分担の下に、自主的かつ積極的に行わなければならない。

3 地球環境の保全は、市、市民及び事業者が自らの課題としてとらえ、それぞれの施策、日常生活及び事業活動において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。

2 市は、市民及び事業者が行う環境保全活動に協力・協働するよう努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、環境の保全上の支障を防止するため、自らの負担と責任において適切な措置を講ずるとともに、積極的に環境の保全及び創造に努めなければならない。

2 事業者は、資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の減量等により、事業活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

3 事業者は、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(滞在者の協力)

第7条 旅行者その他の滞在者は、基本理念にのっとり、その滞在又は通過に伴う環境への負荷の低減に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(施策の基本方針)

第8条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護等の推進を図り、地球環境の保全に資する社会を構築すること。

(2) 市民の健康を保護し、生活環境及び自然環境を適正に保全するため、大気、水、土壌等を良好な状態に保つこと。

(3) 人と自然の豊かなふれあいを保つため、身近な緑、水辺等に恵まれた生活環境の確保及び地域の特性が生かされた良好な景観の形成を図ること。

(4) 生態系の多様性を確保するため、森林、農地、緑地、水辺等において多様な生物種や自然環境を地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全すること。

(5) 地球環境の保全に資する環境への負荷の少ない循環型社会を構築するため、資源の循環的な利用、廃棄物の減量及びエネルギーの有効利用を積極的に推進すること。

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、八幡浜市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民、事業者及びこれらの者が組織する団体(以下「民間団体」という。)の意見を反映するための必要な措置を講ずるとともに、八幡浜市環境審議会の意見を聴くものとする。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境の状況等の公表)

第10条 市長は、毎年度、環境の状況、環境への負荷の状況及び環境基本計画に基づき実施された施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表するものとする。

(規制等の措置)

第11条 市は、環境の保全上の支障を防止するために必要な規制等の措置を講ずるものとする。

(経済的措置)

第12条 市は、市民、事業者又は民間団体が環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造のために行動することを支援するため、必要かつ適正な経済的措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境に配慮した施設の整備等)

第13条 市は、環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(資源等の循環的な利用等の促進)

第14条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、環境への負荷の低減に資する製品の利用、廃棄物の減量等に努めるものとする。

(環境に関する教育及び学習の促進等)

第15条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、自発的に環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲を増進させるため、環境に関する教育及び学習の促進、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の意見の反映)

第16条 市は、環境の保全及び創造に関する施策に、市民、事業者及び民間団体の意見を適切に反映するため、必要な措置を講ずるとともに、その施策の推進に当たっては、市民、事業者及び民間団体の参加の機会を設けるよう努めるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第17条 市は、市民、事業者及び民間団体が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、市民等の自主性を尊重しつつ、必要な支援を行うものとする。

(情報の提供)

第18条 市は、環境に関する教育及び学習の促進並びに市民、事業者及び民間団体が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進を図るため、必要な情報を適切に提供するものとする。

(調査の実施及び監視等の体制の整備)

第19条 市は、環境の状況の把握、環境の変化の予測に関する調査その他の調査を行うとともに、環境の保全及び創造に関する施策を実施するため、必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(協定の締結)

第20条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、特に必要があると認めるときは、事業者との間に公害の防止及び環境の保全に関する協定を締結することができる。

(地球環境の保全に関する施策)

第21条 市は、市、市民、事業者及び民間団体がそれぞれの役割に応じて地球環境の保全に資するよう行動することを促進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との連携等)

第22条 市は、環境の保全及び創造に関する広域的な取組を必要とする施策について、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(規則への委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

八幡浜市環境基本条例

平成24年9月25日 条例第29号

(平成24年9月25日施行)