一般質問 H18.3 上田浩志 議員

公開日 2014年09月05日

〔上田浩志君登壇〕


○上田浩志君
 
 私は、質問通告書に従いまして、大綱
3点について市長並びに関係理事者にお伺いいたします。

 大綱第1点は、水産業の振興についてであります。

 合併後の新八幡浜市の基幹産業は、やはりミカンと魚であることは言うまでもなく御承知のとおりであります。水産業においては、資源の減少、魚価の低迷、魚離れなどで船主の企業努力にも限界が生じている上に、燃料の高騰による経費負担がふえ、出漁しても採算が合わないというのが現実であります。そこで、ミカンと魚をもう一度見直し、ハード面の整備に加えソフト面の充実を図り、生き残りをかけ官、民が知恵を絞ることが必要であると考えております。

 そこで、次の6点について質問をさせていただきます。

 1、総事業費約63億円を投入しハード面の整備に鋭意取り組まれ、私も関係者同様、完成に期待を抱くものでございます。そこで、新施設の規模、機能、完成予定年度、ほかに特設附帯施設等があればあわせてお伺いいたします。

 2、完成後の市場は、機能を含め四国はもとより全国的にも知られる漁港施設となり、新鮮で衛生的なお魚を今まで以上に広く提供されるものと考えております。そこで、当市のミカン同様、より多くの消費者に向けてのPR、またイベント等による集客、さまざまな有効活用が考えられますが、管理者として完成後にかける思いをお伺いいたします。

 3、最新の機能を持つ施設の完成は、関係者にとっては大きな期待であります。一方では、使用料金が旧市場時に比べ、どの程度高くなるのかならないのかと心配もあり、余り高くなると価格の面からも今以上に魚離れにつながるのではと懸念いたします。完成後の使用料設定時には、関係者の意欲高揚も視野に入れての御判断がされるものと期待いたしております。御所見をお伺いいたします。

 4、次世代を担う人材である小・中高生に当市の基幹産業である漁業に親しみを感じていただく上からも、完成後定期的に施設見学を企画することも、将来に向け有意義なことではないかと感じます。また、市民の方々を初め広く近隣地域の皆様方の見学コースも設定できれば、集客にも期待が持てるのではないかと思います。完成後の取り組みではありますが、御所見をお伺いいたします。

 53月議会において、寒風、雪害を受けた農家に対して、被害園地の樹勢回復などの助成措置として1,176万円の補助金が計上されていることは、当然の処置と心得ております。今日厳しい経営状況にあるのは農業も漁業も同じでございます。漁業者には救済措置が施されないことに、疑問というより、つい不公平感を感じるところであります。そこで、提案ですが、漁業振興策の一環として、鮮度保持のためには市場に荷揚げした魚を空気に触れさせないことが重要であり、トレーサビリティーに対応するには船上での作業が大切であると思いますが、魚箱に対しての支援をしてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 6、関連した質問にはなりますが、八幡浜港港湾・漁港振興ビジョンの中で、フェリーターミナル関連施設の計画区域が約3.7ヘクタールあります。この場所を利用して、四国西の玄関口としての交通拠点を最大限に生かし、八幡浜の特産品である水産物、農産物を活用した多様な形態のレストラン、カルチャーセンター等を整備し、民間活力を導入し、あわせて壮大な計画になろうかと思いますが、若者も高齢者もともに住居できる高層住宅の建設を考えてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 大綱第2点は、産地の再創についてであります。

 当市は、日本最高級銘柄として知られる日の丸みかん。抜群の立地条件と日本一のブランドに支えられた生産者の努力であり、上質の果実を生み、同市南部の真穴、川上と合わせて御三家と呼ばれています。国産ミカンのプライスリーダーとしての地位は今も不動ではありますが、近年価格低迷の荒波はトップの産地の足元にも確実に及んでいます。山あり谷ありのときは、いつか山が来るだろうと願って生産に励みました。しかし、1998年を最後に価格が安値安定し、農家を潤す山は見えなくなりました。専業農家で40代の生産者は、ここ数年は再生産価格に達していない、これだけミカンが悪いと先が見えない、子供たちには大学へ行くなら自力で行ってもらわなくてはと嘆いていました。

 日本一のミカンという誇りはあるが、生産者の立場では価格の面で満足できないのが現状であります。そのような中、当面の現金収入を求めての兼業化が進み、後継者が確保できず、一方高齢化は歯どめがかからない。そのため生産を断念する農家があらわれ、耕作放棄園が出始める。こんな産地の弱体化が徐々に進行しているのが現状であります。

 そこで、次の3点について質問をいたします。

 1、かんきつ加工施設の必要性についてであります。

 昨年の12月、記録的な大雪でミカンの果皮が傷つき、茶色になる雪焼けや寒風による傷果が多く、出荷できず、加工に回すどころか園地に摘み落とす生産者もいました。5年前の2001年暮れにも、このような光景があちこちで見られました。

 1年間手塩にかけ、愛情と情熱を込めて大切に育ててきたミカンを廃棄処分すれば農家収入はゼロ。加工用ミカンとして出荷するとキロ10円ほどにしかならないため、経費を引くと生産者の手取りはこれの半分であります。販売価格が低迷する中、大切に育ててきたミカンに付加価値をつけることで、少しでも多くの収入をふやす努力をしなければなりません。

 JA川上共選が販売を目指している味ピカ小太郎ジュース、向灘果実倶楽部が販売している極・圭は、コンテナ1箱で約10本のジュースが搾汁でき、1本につき200円から300円の付加価値をつけることで一般的な農家の再生産価格と同じぐらいの収入となり、農家収入を安定させることができます。しかし、当市では加工施設がなく、遠く今治市の業者に委託しております。近隣には株式会社クリエイト伊方がありますが、行政間の問題もあり割高でしか搾汁できません。

 この冬に日本を襲った記録的な寒波は今後も続くと予想され、さらなる雪害が心配されます。同市の基幹産業を守る上からもジュース工場の建設を考えられてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 2、農業生産法人の支援についてであります。

 自由化の波が農業の保護政策を変え、自立の道を歩みなさいと政策転換をした今こそ、農家の後継ぎ発想から脱却し、農業事業の経営権継承の仕組みづくりの好機と言えます。高齢化が深刻化する中、農業の担い手として農業法人、とりわけ農地の取得が認められた農業生産法人への期待が高まっています。価格が安値安定の今、いかに流通コストを抑えるかで農家手取りが決まります。市場出荷に頼る販売では再生産できるだけの収入は得られず、努力したものが評価されない不平等さがあります。自分でつくったものに自分で値段をつけて売ってみたい、これが農家の純粋な思いであります。

 農業が転換期を迎えている今の時代を追い風ととらえ、世界を相手にできる職業でまだまだ伸びる余地があると思います。八幡浜市も効率的で安定的な農業経営を育成する観点から、法人経営を後押しすることはできないでしょうか、お伺いいたします。

 3、建設会社等の農業参入についてであります。

 財政危機の今、公共事業の削減や長引く不況の影響で建設市場が縮小する中、豊富な労働力や技術力を生かして農業に参入してはどうかと思います。産地から見れば、高齢化による後継者不足解消、耕作放棄園の歯どめになり、また企業側から見れば、有能な労働者の有効活用ができるメリットもあります。ただ、農業は建設業等に比べ収益率が低いため、作物をただつくるだけでなく加工品の製造販売などで付加価値を高め、販路を拡大できるかどうか課題はありますが、国は農地リース方式による企業参入を認める農業特区は全国に拡大する見通しで、この農業特区を活用して、市が所有者から借りた遊休地を法人に貸し、農業などに進出する業者に事業資金の低利融資などを実施してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 大綱第3点は、風力発電についてであります。

 環境に優しい自然エネルギーとして注目され、ここ数年で自治体による風力発電の関心は高まりを見せています。政府は、2010年度までに発電設備能力を現在の約5倍の300万キロワットにふやす計画を打ち出しており、この政府目標の300万キロワットは原子力発電所の約3基分に相当し、約100万世帯に電力を供給できます。

 四国の最西端、佐田岬半島の中央部に位置する旧瀬戸町では、第三セクター瀬戸ウインドヒルを建設して1,000キロワットの風車11基を建設し、2003年度10月から営業運転を始めました。年間6,850世帯の電気が賄え、観光面では道の駅、瀬戸農業公園でも売り上げが3割ほどふえ、集客に貢献し、風車による経済効果を実証しました。また、20073月ごろには60基が林立する見通しで、売電収入を合計で年間115,000万円と試算すると、法人税、固定資産税が年間平均8,500万円ほど見込まれると聞き及んでおります。

 私は、この風力発電事業は新しいまちおこしの風として、漁民や農家泣かせの季節風を利用して、無限のクリーンエネルギーをギアチェンジによって幸せの風に変えるという逆転の発想であると思います。ないものをねだるよりあるものを生かしていく、それがまちおこしだと私は考えます。

 当市は佐田岬半島の基部に位置し、西は伊方町と隣接しており、佐田岬半島が風車の半島となる時期は確実に迫ってきており、将来の広域合併をも見据え、八幡浜市としても平家谷公園整備とあわせて、年間を通して風が吹く瞽女ケ峠付近を立地場所として、風力発電事業の計画を考えられてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 以上で私の質問を終わります。

○議長(宮本明裕君)  市長。


○市長(高橋英吾君)

 上田浩志議員の質問にお答えいたします。

 大綱第1、水産業の振興について、(1)の市場の規模、機能、完成予定年度、特設附帯施設についてであります。

 係船岸壁として、陸揚げ用マイナス5メートルを約230メートル、準備用マイナス5メートルを60メートル、合計290メートルを整備することにいたしております。

 荷さばき所は、面積が12,200平米。内訳は年1,600トンを取り扱う活魚エリア、市場関係者の食堂を2階に、またHACCPに対応した施設として殺菌海水製造施設、サニタリールーム、更衣室、そのほかに備品倉庫、冷蔵庫、廃棄物置き場を整備する計画でございます。

 また、荷さばき所以外に併用施設1,000平米、加工場800平米、水産倉庫1,400平米、駐車場5,800平米、汚水処理施設を整備することといたしております。

 完成予定年度は、平成24年度といたしております。

 第2の新市場の完成後にかける思いについてですが、新しい市場によりまして魚の取扱量の増大、魚価の上昇が見込めると同時に衛生管理型の近代的な市場として、また観光施設として全国的にPRしていきたいと考えております。旅行代理店等にも協力していただき、市場施設の見学を取り入れた観光ツアーや行政視察も積極的に受け入れていきたいと思います。

 また、市場に隣接して観光魚市場やイベント広場等も整備いたしますので、定期的にイベント等も開催いたしまして、港に集客力のあるにぎわい空間をつくり出し、町の活性化の核となる施設にしていきたいと考えております。

 3番の新しい市場の使用料について。

 新しい衛生管理型の市場は、平成23から24年度にかけて建設する予定にしております。現時点では、まだビジョン段階で詳細な設計ができておりませんので、事業費につきましても正確に算定することができません。したがいまして、使用料についても確定いたしておりませんが、水産業の現状につきましては厳しい状況にあると認識しておりますので、新しい市場の使用料につきましては、水産業振興に十分配慮した料金設定にする必要があろうかと考えております。

 4番目の新市場の見学施設、見学会について。

 新しい市場は、魚食普及や観光的要素を取り入れた施設活用を図るため、見学通路等を整備するよう計画いたしておりますので、議員御提案の見学会等も開催してPRに努めてまいりたいと考えております。

 5番目の魚の箱に対しての支援についてであります。

 愛媛県において、水産物トレーサビリティーシステム導入について検討がなされております。八幡浜漁業協同組合は現在21町のエリアにわたっておりますので、組合員が公平、公正なサービスを受けられる体制を整えるため、21町の自治体と漁協で水産業振興連絡協議会設立の準備を現在進めております。その中で、水産物トレーサビリティーシステム導入に伴う魚の箱等の支援について、事業実施状況の調査や効果等を研究し、協議してまいりたいと考えております。

 6番目の高層住居の建設についてであります。

 振興ビジョンにおいて計画しております施設は、港湾区域内のものは港湾法に基づいて港湾施設として整備するものでございますので、国や県の補助制度の適用があるわけでございます。御質問の居住空間を臨港地区内に建設しようといたしますと、臨港地区の解除が必要となってまいります。解除によって港湾施設もしくは港湾に付随する施設とは認められなくなり、当然ながら補助が受けられなくなります。したがいまして、高層住居に対するニーズの把握を行う等、十分な検討が必要であろうかと考えます。

 その他の問題に関しましては、担当課長より説明させます。

○議長(宮本明裕君)  農林課長。


○農林課長(菊池敏和君)

 上田議員御質問の大綱
2、産地の再創について、その1でございますが、かんきつ加工施設の必要性についてお答えをいたします。

 以前にもジュース加工施設等の建設の要望がありまして、検討を行ってきておるわけでございますが、採算性や維持管理の面、事業効果等解決すべき問題が多く、実施には至らなかった経緯がございます。

 現在、伊方町の第三セクター方式によりますクリエイト伊方、また明浜町のふるさと創生館、ここではジュース加工所以外にも他部門による多角経営などがあるようでございます。近隣ではこの2カ所においてミカンジュースを生産しておりますが、経営は決して順風満帆とはいっていないと聞き及んでおります。基本的には、JAの方では余剰ミカンをジュースとして流通させることは認めておらず、現在のところ八幡浜市が事業実施主体としてのジュース加工施設は考えておりませんが、個人単位での取り組みに対する助成方法等につきましては、今後の課題であると考えておりますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。

 次に、農業生産法人の支援についてでございます。

 農家が法人化することによりまして、経営上、税制上のメリットがございます。また、それに伴いまして、いろいろなリスクがあることも確かでございます。

 現在、八幡浜市での経営改善計画を出されている法人は5法人あります。市といたしましては、農業委員会、県農政普及課等と連携しながら法人化に向けた支援策を考えているところでございますが、研修会などで最近の事例等を機会あるごとに農家にも御紹介をしていきたいと、このように考えております。

 3番目に、建設会社等の農業参入についてでございます。

 議員御指摘のとおり、平成1791日に施行されました農業経営基盤強化促進法等の一部改正によりまして、企業の農業への参入が可能となりました。しかしながら、参入区域の設定、市が農地を借りて企業にリースするなどいろいろな調整が必要となります。すぐに実施するわけにはいきませんが、全国的にも担い手不足、高齢化が原因で遊休農地がふえている現在、八幡浜市といたしましても受け入れ体制をとるための検討をしていきたいと、このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○議長(宮本明裕君)  商工観光課長。


○商工観光課長(中榮忠敏君)

 上田浩志議員の大綱
3、風力発電についての御質問にお答えをいたします。

 地球温暖化に有効な歯どめが見つからない今日、環境に優しいクリーンエネルギーが注目を浴び、昨年2月に発効をした地球温暖化防止に関する京都議定書の発効とも相まって、風力発電への取り組みは加速度を増しています。

 隣接の伊方町におきましても、旧瀬戸町を中心として、近いうちに60基もの風力発電機が林立するようであります。当市におきましても議員御指摘のとおり、保内瞽女ケ峠付近では、伊方町に負けるとも劣らないほどの風力があるとのデータもあります。また、現在穴井地区において、民間の業者が新エネルギー産業技術総合開発機構の共同研究事業を実施中であるとも聞いております。

 さて、議員御提案の平家谷公園整備とあわせた風力発電事業計画の立案でございますが、1キロワット当たり20万円とも言われております建設費を考えますと、1基当たり2億円を超える事業費が必要となってまいります。第三セクターが主体となっての事業を考えましても、当市の現在の財政にかかる負担は非常に大きいものがあると思われますので、現状では前向きに取り組みがたい状況でございます。ただ、今後の検討課題ということで現在考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 以上でございます。

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議会事務局
住所:愛媛県八幡浜市北浜一丁目1番1号
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