一般質問(一問一答方式) R3.9 田中繁則 議員

公開日 2022年01月13日

〔田中繁則君質問席へ移動〕

 

○田中繁則君  それでは、通告書に従いまして質問をいたします。
 大綱1、八幡浜市学校再編整備第2次実施計画についてであります。
 現在、第2次実施計画に基づきまして八幡浜市立小・中学校の再編整備が進められています。この計画は、平成28年に八幡浜市教育委員会から諮問を受けた八幡浜市学校再編整備検討委員会が、平成29年3月に結論づけた答申書によって平成30年2月に作成されたものであります。
 この答申書及び実施計画書に目を通しますと、その前書きにおいて再編整備の理念を次のように示しています。子供たちにとってどういう教育環境が望ましいのかを念頭に、理想の追求に終わることなく、人口推移、学校の現状、市として現実的な対応の検討を進めるであります。至極真っ当な表現ではありますが、理想ばかり求めても駄目なので、現実を考えましょう、複式学級等の小規模校は廃校もやむなし、他校に統合しますとの考えで進められていると解釈します。
 再編整備第2次実施計画は再編整備の土台であり、私はその賛否を論ずるものではありません。地域を担う人材育成が最重要課題の一つである八幡浜市において、子供たちをどう育てていくのか、そのための教育環境をどう整えるかという課題を、対象校区住民だけでなく市民全体で考えていただくことが質問の意図であります。
 実施計画では、小学校1学級25人、全校150人程度、中学校1学級30人3学級、全校270人程度を望ましい教育環境の基準としています。果たしてこの基準を市民の多数が望ましいと考えるかどうか、現実的な判断として適切かどうかは疑問を持つところであります。
 ここで、第2次実施計画の再編対象について触れておきます。川上小学校、双岩小学校を平成31年4月に神山小学校へ統合、松柏中学校を令和4年に八代中学校へ統合と示されています。いずれも現時点では実施計画に対する地域住民の意向を把握するための地区協議会は設立されていません。
 令和2年6月定例会の一般質問において、議員から、小学校2校の統合が進んでいない理由を問われた教育長は、次のように答弁されました。平成30年度保護者説明会を実施したが、十分な賛同を得られていない。市議会協議会において平成31年度4月統合を令和4年まで延期した。松柏中学校は昨年度千丈小学校、江戸岡小学校分かれて説明会を実施し、アンケートを取ってその回答を出して保護者の理解を求めているでありました。
 市立小・中学校の再編整備について質問いたします。昨年6月議会における教育長の答弁から15か月経過した現在の状況についてお伺いします。
○議長(平家恭治君)  教育長。
○教育長(井上 靖君)  お答えします。
 真穴中学校は今年3月28日に閉校記念式典を開催し、4月1日から八代中学校と統合しております。
 残る川上小学校、双岩小学校、松柏中学校と松柏中学校へ進学する江戸岡小学校及び千丈小学校については、引き続き保護者説明会を開催し、統廃合の必要性、安全な通学方法等を説明し、統合の賛否を尋ねています。
 地域協議会立ち上げまでに保護者の過半数の賛成を条件とする松柏中学校では、賛成が39%。これは令和4年度統合で考えておりますので、昨年度の中学1年生の保護者だけで実施しています。今年度の中学2年生です。
 また、保護者の3分の2以上の賛成を同意の条件としている川上小学校では48%の賛成、双岩小学校では53%の賛成、江戸岡小学校、松柏中学校へ進学する松柏中校区の江戸岡小学校で46%、そして千丈小学校の全保護者は46%という結果でした。
 したがいまして、いずれも統廃合について保護者の同意が得られておりませんので、統廃合を協議する地域協議会を立ち上げるまでには至っておりません。
 今後の予定につきましては、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてから関係する5校で保護者説明会を開催する予定です。
 その後、その説明会で出た持ち帰りの案件や意見交換を要約した資料を保護者に配付して、学校再編計画に対する保護者アンケートを再度実施していただく予定で考えております。
 以上です。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ただいまの回答について質問いたします。
 十分に練られた計画だと承知しておるんですけれども、まだまだ保護者から3分の2の賛同が得られてない、39%、48%、58%と伺ったんですけれども、このように保護者からなかなか多数の賛同が得られてない理由、また賛同を得られるための今後の委員会としての方策、今後の見通しについてはどのようなお考えをお持ちか、お伺いいたします。
○議長(平家恭治君)  学校教育課長。
○学校教育課長(菊池和幸君)  お答えします。
 統廃合の反対理由は、川上小学校では、小規模校でのよさや地元への愛着のほか、松蔭小学校への統合を希望する意見がありました。
 双岩小学校では、バス通学に対する不安や中学校を統合したばかりで今はまだ早過ぎる、もっと児童数が減ってからでもいいのではないかなどのほか、コロナが終息してから検討してはどうかという意見がありました。
 松柏中学校では、通学路を不安視した反対意見が多く、通学路の安全性の確保や通学支援に関する要望が多く見られました。
 小学校では、複式学級など少人数での学習は、自学・自習する場面が必然的に生じてしまうこと、運動会、学芸会等の行事は少人数で限られた活動になり、活気が失われるなど問題点があります。
 中学校でも、クラス替えができるように複数学級の必要性や部活動の選択が広がること、安全な通学方法などを説明して保護者の理解を得ていきます。
 今後の見通しとしては、計画にある令和4年4月1日の統合は困難でありますので、再編整備計画第2次実施計画の後期計画である令和5年度から令和9年度までの計画を今年度と来年度で策定していくこととしています。
 以上でございます。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  少し教育の本質論から述べさせていただきます。
 対象校の状況について質問いたします。実施計画では、小規模教育のデメリットとして、評価の固定、競争心の不足、集団活動が困難、社会性の醸成が困難などと示されていますが、実際に対象校では他校と比べ企画力を含めそのような傾向が現れているかどうかお伺いいたします。
○議長(平家恭治君)  教育長。
○教育長(井上 靖君)  お答えします。
 実際に小規模校において学力の低下などの傾向が現われているということはありません。
 また、議員御指摘の競争心の不足、集団活動や社会性を育てることが困難という課題につきましては、抽象的な話をしても仕方ありませんので、具体的な話を2つだけさせていただきます。
 1つ目は、ある小学校での統合に関する保護者説明会、この方は統合に賛成ではない方でしたけども、こんな意見を言われました。小学校の陸上記録会での出来事。我が子がリレーのバトンパスを失敗した。原因は他校の児童が次々とバトンパスをしたため焦りが出たとのこと。他の児童と競い合っている経験がない。雰囲気も違うので慌てたということから、少人数の学校について考えさせられましたと。統合しても子供たちはすぐに適応できるのではないかなと思うと、そんな発言でした。
 もう一つは中学校の話題ですけども、御存じのように今年度4月に真穴中学校と八代中学校が統合しました。統合して2か月たった6月に、統合前の気持ちと現在の気持ちについて全ての生徒、保護者の皆さんにアンケートを実施しました。特に真穴地区の子供たちは、半数以上が統合前に不安を抱えていましたが、統合後は学校全体で約96%の生徒が統合に満足している、どちらかといえば満足していると回答してくれています。その理由は、友達がたくさんできた。交流が楽しく、学級が明るくなった。学校生活や部活動が楽しいなどでした。
 子供たちはより大きい集団の中で互いに刺激し合い、旧八代中学校の子供たちも真穴中学校の子供たちと出会うことによって真穴の子のよさを知り、いい刺激となり、互いのよさを認め合いながら学校生活を送ってくれていると。
 回答にはなってないかもしれませんが、その2つの事実をお伝えして回答とさせていただきます。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  子供たちの生活上のことからお答えいただき、ありがとうございました。
 私が申し上げたいのは、小規模校のデメリットが顕在して教育環境に問題が生じているか、教育成果として問題視される事象が起こっている、あるいは既に起こり始めているかということであります。
 計画書では、よい教育環境として、切磋琢磨、教育機会の均等、公平性というフレーズが使われていますが、小規模校では無理、大規模校なら可能と決めつけている感もしないではありません。
 保護者の多数の同意を得られないのも様々理由が考えられますけども、この捉え方が異なるからではないでしょうか。
 現在教育委員会は、保護者の意見を十分に尊重した丁寧な対応をされています。今後も子供たちの学校生活や地域の状況、教育成果の評価等をしっかりと行っていただき、地方創生の意義を念頭に置いた再編整備に取り組まれることを要望いたします。
 大綱1、最後の質問であります。
 学校の再編整備は該当地域住民だけでなく、市民全体に関わる重要事項であります。にもかかわらず、一般市民が得る情報は関係者からの口コミで伝わることが多く、市民に正確な情報提供がなされていない状況であります。
 市のホームページ上で再編整備に関する資料を探したところ、教育委員会ページには総合教育会議議事録、教育委員会会議録の項目があり、それぞれ関連資料が載せられています。学校教育課ページには、教育委員会会議録、学校再編整備第2次計画学校再編整備検討委員会議事要旨の項目の中に関連資料が載せられています。
 また、神山幼稚園の廃園に関しては、子育て支援課のページには経過報告等は見当たらず、教育委員会ページの教育委員会会議録の中、令和3年度6月定例教育委員会会議録資料に議事として上がっており、7月定例会では廃園方針決定の協議内容が載せられています。
 このように、言葉だけで説明すると混乱するほど関連情報の収集が煩雑な現状であります。
 最後の質問であります。
 教育委員会トップページに学校再編整備の項目を設け、会議録として公表されている情報などをまとめるなど、市民に対して積極的な情報公開に努めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○議長(平家恭治君)  学校教育課長。
○学校教育課長(菊池和幸君)  お答えします。
 市のホームページに学校再編整備の項目を設け、現在公表されている定例教育委員会議事録のほかに進捗状況が分かる資料を新たに作成し、市民に対し情報を公開してまいります。
 なお、今後設立される地域協議会での進捗状況等につきましては、公表していく予定です。
 しかし、現在各学校で開催されております保護者説明会での内容につきましては、その都度保護者に対し意見要約を配付しております。しかし、あくまでも保護者内での協議事項ということでございますので、この件については公表しませんので、御了承願います。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  情報公開について、これからどうかよろしくお願いいたします。
 第2次実施計画について私の感じることを少しばかり述べさせていただきます。
 冒頭に計画の理念である前書き、理想の追求に終わることなくという文言について、安易な解釈を述べました。私は答申書の真意を、教育のプロ集団である教育委員会に対し、理想を追求せよ、そして実現に向かって努力せよと捉えています。
 計画書には望ましいイコール可能な現実と解釈し、小規模教育のメリットを上げているものの、理想的な教育環境についての具体的な記述はありません。
 時代は大きく変革しています。他の地域に例がないような新たな可能性を期待できるような変革期にふさわしい思い切った教育の在り方を真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。
 大綱1については以上です。
 大綱2は、市内に立地する県立高校3校に関する市としての将来ビジョンについてであります。
 初めに、県立高校は愛媛県が設置者であり、市が学校運営の義務や責任を負うものではないこと、所管外であることを述べておきます。
 しかしながら、市内に立地する高校3校は、長年にわたり有用な人材を輩出するなど、地域の未来を左右する重要な教育機関であり、市民にとっては幼・小・中・高と設置者の区別なく我が町の学校として深くつながっている存在であります。市民生活に密接に関係している問題であるからこそ大綱2として取り上げた次第であります。
 さて、高校では、来年度から新学習指導要領が年次進行で実施され、社会に開かれた教育課程を重視することが明記されています。
 これからの高校教育は、所管する県だけでなく、立地する地域を中心に学校と社会の関わりがより強く求められてまいります。
 同時に、入学生の減少により県立学校においても再編整備が進んでいます。現在の基準では、学校の分校化は入学生40人以下が2年続き、増える見込みがないとき、分校募集停止は入学生30人以下が2年続き、増える見込みがないときとなっており、近辺では内子小田分校と宇和三瓶分校が来春の入学生によっては募集停止が、長浜高校は分校化が進められる状況にあります。
 八幡浜工業高校は、本年度の入学生が60人を切ったため、この状況が2年続けば定員が80から60人に引き下げられる可能性があります。
 こうした入学生の減少を受け、愛媛県は令和2年に県立学校振興計画検討委員会を立ち上げ、県下各地域で地域協議会を開催し、学校代表者、自治体代表者等と意見を交わして地域の高校教育の将来ビジョンの策定を始めています。
 地域協議会は県内8地区、当市は八西・西予地区に当たり、昨年から既に3回の協議が行われ、この秋に4回目が開催される予定です。自治体代表として市長、教育長が出席されています。
 そこで地域の高校の将来が語られるとすれば、市民に直接関わる重要事案であり、その内容は本来であれば周知されるべきと考えます。
 協議内容については、一部が県教委から公表されていますが、部分的に非公開、また守秘義務等もありますので、市長には大局的見地からお答えいただきたく質問いたします。
 県立高校の再編成は、県が決定、実施する案件でありますが、自治体代表者として地域の発展、衰退に大きく影響する川之石高校、八幡浜工業高校、八幡浜高校の3校の将来ビジョンについて、市長はどのような考えをお持ちでしょうか。
○議長(平家恭治君)  市長。
○市長(大城一郎君)  市内にある県立高校3校のうち、まず八幡浜高校は県内屈指の進学校ですが、文武両道を教育方針の柱に掲げ、勉学だけでなく部活動でも目覚ましい活躍を見せています。例えば女子駅伝は県大会14連覇中で、また商業研究部A☆KINDは、地域活性化に関する様々な活動を展開し、各種表彰を受賞するなど、多くの実績を上げております。
 八幡浜工業高校は、まさに物づくりに特化した高校として電気、機械、土木などの分野で技術者の養成に寄与しています。部活動では、レスリング部が県総体団体15連覇中で、電気技術部は国際ロボット競技大会で世界1位に輝いた実績もあります。
 川之石高校は、南予地方唯一の総合学科設置校として、社会の変化に応じ生徒が幅広く進路選択できるよう、多様かつ実践的なカリキュラムを展開しています。卒業時に介護福祉士の国家試験を受験することができるのは、県内の公立高校では川之石高校のみで、このほか最近では6次産業化の取組も注目を集めています。
 このように、市内の高校3校はそれぞれ特色を生かした教育を推進しながら、歴史と伝統を積み重ね、これまで多くの優れた人材を輩出してこられました。
 私自身も、今後の地域社会を担うあるいはより広い社会で活躍する人材づくりなど、3校に寄せる期待に変わりはありませんが、一方で子供の数が著しく減少し、部活動なども大きな制約が出ている中では、これらを再編し、より活発な高校教育が実施できるよう見直しを図ることも重要だと考えています。
 いずれにしましても、今後の在り方については、市外から八幡浜市に通ってくる生徒が一定程度いることも考慮しながら、少し広い視点を持って検討していく必要があるものと考えております。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  市長には、学校の実績等を十分に踏まえたお答えありがとうございました。
 次の質問であります。
 市長には、今後も地域協議会として地域創生のための学校の在り方について市としての思いを発信していただかなければなりません。市長個人の考え、今お伺いいたしましたが、3校の今後の在り方については、学校関係者はもとより小・中学生、一般市民も強い関心を持っていることは疑いなく、市長にはその意を酌む努力も求められます。市民の意見や思いを吸い上げること、またその方策について市長の考えをお伺いいたします。
○議長(平家恭治君)  市長。
○市長(大城一郎君)  先ほども申しましたが、子供の数が大きく減少していく中で、市内3校の高等学校の在り方については、思いつき程度のものから少し理論だったものまでレベルの差はあると思いますが、市民それぞれに意見があると思います。
 私自身、意識的にできるだけ多様な意見をお伺いして、その広がりの中から自分として適切な方向を選択し、それをしっかりと県へ伝えていきたいと考えています。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  市長はこれまでにも市内全域へ出かけて直接市民の話を聞かれるなど、市民との情報共有に真摯に対応されています。この問題もぜひ話題として取り上げていただき、市民の思いに触れていただいたらと思います。
 次の質問であります。
 愛媛県策定の学校再編整備基準において、各高校は魅力ある学校づくりについて、特に職業学科においては、自治体との協力関係を持つよう示されていますが、現在までに学校魅力化のために高校と市が連携した取組があれば、その事例を示していただき、また今後各校から協力依頼があった場合、地域資源の投入を含めた市の対応についてお伺いします。
○議長(平家恭治君)  政策推進課長。
○政策推進課長(垣内千代紀君)  お答えします。
 市内の県立学校3校と市が連携した事例ですが、まず八幡浜高校では、商業研究部A☆KINDが中心となり、フェリーや伊予灘ものがたりの乗客の皆さんに対し、お出迎え、お見送り活動を行っているほか、最近では地場産業の応援のため、シーフードセンターなどとコラボし、ミカンと魚を使った商品開発に取り組んでおります。
 八幡浜工業高校では、毎年マウンテンバイク大会のイベントコーナーに自転車発電のブースを出展いただき、大会を盛り上げていただいているほか、同校が制作した二宮忠八翁の飛行機模型を市民文化活動センターに展示させていただいています。また、市との連携というわけではありませんが、市内の子供たちを対象にレスリング教室や物づくり教室を実施されていると聞いております。
 川之石高校では、一昨年台湾で開催した八幡浜フードフェアに参加していただいたのに続き、今年度からは台湾との縁をさらに発展させるため、台湾の国立中山大学との交流事業についても協力いただいているところです。また、観光振興のため、サイクリングマップの製作にも取り組んでいただきました。
 このほか、八幡浜みなっとの緑地公園にあるみかんの丘は、高校生のふるさと八幡浜への愛着につながればとの思いで、市内の3校にお願いし、生徒と市民ボランティアの手でつくり上げたものです。
 このように、市内の高校3校にはそれぞれ学校の特色を生かしながら地域の拠点としてまちづくり、人づくりに大変貢献いただいております。
 今後も市としましては、高校から協力依頼があれば、もちろんできるだけ協力したいと思いますし、地域活性化のため様々な形でコラボできればと考えております。
 以上です。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今の御説明ですが、高校生が聞いたら本当に喜ぶと思います。大変心強い言葉をいただき、安堵いたしました。
 さて、再編整備計画の今後の動向であります。県立学校振興計画検討委員会は、次期県立学校振興計画を策定中であり、令和3年8月4日付の中間申告では、令和5年度より入学者数80人以下が3年続いたら統合または募集停止、職業学科を集約した産業科学高校の設置、進学指導モデル校の指定、市や町から移管の申出があれば協議するという市立・町立高校の誕生にも触れるなど、大胆な提案がなされています。
 もはや統廃合という単純な話ではなく、学校が生まれ変わるという次元での提言であることを御理解いただき、今後も状況の推移を見守りつつ、市としての対応を早め早めに取っていただくことを要望いたします。
 高校は地域の子供たちが最後に学ぶ教育機関であると同時に、地域外からも多くの若者を引きつけ、交流人口の増大、地域活性化にも貢献しています。3校の育成について、この議場内だけでなく、市民が様々な場所で議論を交わすことを願い、大綱2の質問を終わります。
 大綱3、地域の将来を担う人材育成のための奨学金の創設について質問いたします。
 平成26年12月の閣議決定、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、奨学金を活用した大学生等の地元定着や地方公共団体と大学等との連携による雇用創出、若者定着に向けた取組等を推進することとされました。
 この決定を受け、平成27年4月に文部科学省は都道府県に対して同内容の通知を発信して、その積極的な運用を促し、令和2年6月時点で32府県423市町村が日本学生支援機構等の貸与型奨学金の返還支援事業を実施したり、独自の地域創生給付型奨学金を設けたりするなど、各自治体において様々な取組が行われているところであります。
 第1の質問であります。八幡浜市が管理運営する奨学金の現在の状況についてお伺いします。
○議長(平家恭治君)  学校教育課長。
○学校教育課長(菊池和幸君)  お答えします。
 八幡浜市奨学資金貸付事業の貸与者は、現在5名です。貸与開始年度の内訳は、平成30年度に1名、令和元年度に1名、令和2年度に3名、令和3年度はいませんでした。学校別では、高校生が2名、専門学校生等が2名、短期大学生が1名です。貸与額は、月額で高校生が1万2,000円、大学生等が3万5,000円です。
 奨学資金の利用者は年々減少しておりますが、平成29年度から国が返済義務のない給付型の奨学制度を創設しており、利用者の負担も少ないのでこちらの利用者が増加傾向にあります。
 西村奨学資金は、大学生で特に優秀な者1名に貸し付けるもので、現在利用者はおりません。貸与額は月額で4万5,000円です。奨学資金は入学支度金で30万円となっており、今年度の利用はありませんでした。
 資格はいずれも学校教育法に規定する高等学校、高等専門学校、大学、短期大学及び専修学校に在学する者であること、保護者が八幡浜市に居住している者であること、学業面、人物面、健康状態において就学に十分耐え得ると認められる者であること、経済的事情により就学が困難な者であること、ほかに同種の奨学金を受けていないことであります。
 ただし、八幡浜市西村奨学資金につきましては、特に学業成績が優秀であることと規定されております。
 以上でございます。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ただいま説明いただいた奨学金が果たした役割は大変大きく、経済的に就学困難な生徒にとっては力強い支援となっております。
 しかしながら、これらは支給対象が限られており、進学を目指す高校生は他の奨学金のお世話になることになります。
 高校卒業時によく利用される日本学生支援機構奨学金を例にしますと、4年制私立大学進学であれば一般的な第2区分で月約5万円、卒業時に本人が負う負債は約240万円ほどになり、新社会人としてはかなりの負担になります。
 このような実情を踏まえ、地域創生の観点から、進学した学生たちが卒業後地元に定住、就労するなどの条件を満たせば、その一部または全額の返還を支援するという政策が、県内では宇和島市、新居浜市、伊方町、愛南町などで奨学金返済支援事業として実施されています。人口減少対策、人材確保の面からも、若者の地域定着を後押しする有効な事業であり、各自治体の積極的な取組姿勢に共感を覚えるものであります。
 第2の質問であります。八幡浜市として他の自治体の奨学金制度の動向を把握されているのでしょうか。また、将来的に奨学金返済支援事業を実施する考えはあるのかどうか、お伺いします。
○議長(平家恭治君)  学校教育課長。
○学校教育課長(菊池和幸君)  お答えします。
 定住、就労における奨学金返済支援事業については、議員御指摘のとおり、県下では宇和島市、新居浜市、上島町、伊方町、愛南町及び愛媛県が実施しております。
 伊方町では、町内に定住し、かつ認定された事業所に5年以上勤務が見込まれる者に、年度内に返還する奨学金の全額を支援しております。
 また、宇和島市では、30歳以下で5年以上居住する意思のある者に、交付申請年度の前年度返済額の3分の2を補助しており、上限が20万円で、最長5年間支援しております。
 市としても、これらの市町が実施している事業も参考に、八幡浜市内で居住、就労することになった場合の奨学金の返済支援について、今後必要性について検討したいと思います。
 以上でございます。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ただいまの検討につきましては、また今後報告をよろしくお願いいたします。
 次に、先ほどの支援事業をさらに強化した資格や職業を具体的に絞った市独自の奨学金制度について質問いたします。
 八幡浜市では、将来の助産師、看護師の養成を目的とした返還免除型の看護師等修学資金貸与制度を運用されていますが、この現況及び成果についてお伺いします。
○議長(平家恭治君)  市立病院事務局長。
○市立病院事務局長(福岡勝明君)  お答えします。
 市立八幡浜総合病院では、平成22年度から看護師または助産師の人材確保を図ることを目的として、看護師等の養成施設に在籍する学生で、卒業後当院において看護師等の業務に従事を希望する学生に対し、修学資金を貸与することにより修学を支援しています。
 当初貸与額はどの養成施設でも入学から卒業まで一律月額5万円としていましたが、令和元年度より5年一貫高の専攻科、3年制専門学校、4年制大学については、学年に応じて月8万円から10万円までに増額しました。
 養成施設ごとの入学から卒業までの総貸与額を比較すると、5年一貫高校で300万円から372万円となり、72万円の増、3年制専門学校で180万円から288万円となり、108万円の増、4年制大学で240万円から384万円となり、144万円の増となります。
 貸与した修学資金については、養成施設を卒業した日から1年を経過する日までに看護師等の免許を取得し、直ちに当院の看護師等として採用され、貸与期間に相当する期間看護師等の業務に従事した場合は全額の返還が免除されます。
 本制度の利用状況につきましては、制度開始から令和2年度末までに75名が利用し、44名が当院に採用されています。
 現在修学貸与中の利用者が26名おり、これまでに辞退された方は5名おります。
 令和3年8月末現在では、新たに8名に対して修学資金を貸与しており、本制度により今後も継続した看護師の確保に努めていきます。
 以上です。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  医療の世界で将来期待される人材が育っていることを聞き、とてもうれしく思います。
 また、この事業創設に尽力された市長をはじめ関係者の皆様に敬意を表します。
 次に、地域創生型奨学金の創設についてであります。
 本年4月、鬼北町の奨学金を八幡浜市の高校生が受給することになったという新聞記事を目にしました。先ほどの看護師等修学資金と同様、医師確保のための奨学金制度でありました。医師になるための高額な資金を貸与し、将来の地域勤務を条件に返還を要しないというものであり、西条市、愛南町でも実施されています。
 八幡浜市でも一般財団法人による医師確保奨学金貸与制度があり、実際にその恩恵を受ける地域出身者もおります。
 このように、特定の技能、資格等を有した若者たちの修学支援を積極的に行うことでまちづくりを進める自治体が増えています。
 また、特定の職業にこだわらず、地域への定住、就労を条件とした新しい地方創生型奨学金も創設され始めています。
 1つ事例を挙げます。鹿児島県長島町の学生を成長魚であるブリに例えたぶり奨学プログラムは、そのシステムが大変すばらしく、他の自治体にも積極的に情報公開しており、既に1市3町が同様の奨学金制度を創設しています。ぜひ参考にしていただきたい。
 大綱3、最後の質問であります。市として地方創生を目的とした新たな給付型返還免除型奨学金制度を創設する考えがあるかどうか、お伺いします。
○議長(平家恭治君)  副市長。
○副市長(橋本顯治君)  御案内のありました鹿児島県長島町のぶり奨学プログラムは、町と協定を結んだ金融機関でぶり奨学ローンを借りて、卒業後に長島町に定住すれば奨学ローンの返済を町がほぼ全額補填するという制度でありまして、この取組は愛媛県が2年に1度開催している行革甲子園の平成28年度版で取り上げられています。
 この奨学金の発案者は、当市でも活用した地方創生人材支援制度により長島町へ派遣されていた総務省のキャリア職員で、行革甲子園へのエントリーがきっかけとなり、その後愛媛県の市町振興課長として赴任されていましたので、私自身もよく存じている方であります。
 この奨学資金ですけれども、愛媛県では上島町が同様の制度を導入しており、これまでに66件の利用があるというとのことで、地元の金融機関や企業と連携しUターンの促進につなげようというものであります。
 ただし、今お話のあったように、地域定住を求める一般的な奨学金、特定の資格に限られないものについては、まだまだ全国的には数か所程度で、ごく一部の実施であり、大きな広がりを見せている状況ではありません。
 広い世界で幅広く活躍すべき今子供たちについて、地元に帰る場合のみに奨学金の返済を補填することについて、ややこう迷うべきところもあるのかなという気がします。
 奨学金そのものは一般的なものとして広く返す必要のない給付型の奨学金、それからお話のあった貸与型の奨学金、いろいろありますので、既にいろんな形で国の制度も含めてありますので、今後他の状況などを見ながら効果と必要性を検討していきたいと思います。
○議長(平家恭治君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  現代は教育費の増大、また家庭の収入の減少等、本当に厳しい状況にありますので、ぜひ今後とも検討いただきたい。
 私は、地域の将来を担う人材育成は地域最大の課題であり、自前で育てる仕組みづくりが必要であると考えています。できれば学校誘致まで行けばよろしいんですけれども、これは大変困難であり、たとえ学校誘致が無理でも、就学に対する手厚い支援によって若者の地域回帰を後押しし、身につけた知識や技能を発揮してまちづくりに貢献されることが大いに期待されます。若者たちにとって魅力ある奨学金返還支援事業制度の創設を強くを要望し、一般質問全て終わります。

お問い合わせ

議会事務局
住所:愛媛県八幡浜市北浜一丁目1番1号
TEL:0894-22-5998
FAX:0894-22-5963
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