一般質問(一問一答)R7.6 田中繁則議員

公開日 2025年09月10日

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○田中繁則君  それでは、通告に従いまして、大綱1「市職員採用戦略と初級職区分の導入について」、一般事務職を中心に質問いたします。
 6月、この梅雨の季節は、各自治体にとっておのおのの戦略を駆使した人材獲得競争がスタートする時期でもあります。
 私はこれまで本市の職員採用試験において、高校卒業年齢層の若者にも門戸を開くべきであると提言してまいりました。とりわけ一般事務職、土木技術職については、高校卒業予定者は本市が初級区分を設けていないことに対し、その見直しを強く求めました。
 当時の答弁では「高校進学率の上昇」や「就職希望者数の減少」が理由として挙げられましたが、むしろ今こそ地元高校生に対し「地域の未来を担う人材として期待するメッセージを発信すべきである」と申し上げました。
 地元に根差し、地域の暮らしを支えていく人材をこれからどう育てていくのか、これは単に採用制度の話にとどまらず、町の将来像そのものに関わる大切なテーマであると感じています。併せて、高校卒業世代の若者が、社会の中で正当に評価されること、その意義を改めて強調しておきたいと思います。
 先頃発行された市広報6月号にて、令和8年度採用予定の職員募集要項が公表されました。一般事務職がA(筆記方式)とB(SPI方式)の2区分となり、新たに一般事務職Bが設置されたことは一定の前進であり、柔軟性を持たせた点を評価しております。
 しかしながら、今回も応募資格は依然として21歳~33歳とされており、20歳以下の高校・大学・専門学校の卒業予定者は対象外となっています。
 改めて申し上げます。人材確保がままならない中、高校卒業年齢では市役所職員にはなれない、この状況をいつまで見過ごすのか。地元に暮らし、地域の実情を肌で知る若者たちにも受験の門戸を広げていくべきではないでしょうか。
 以上を踏まえ、本市における職員採用戦略の基本的な考え方について伺ってまいります。
 初めに、一般事務職A・Bの2区分制導入の目的と意図について伺います。
 今回新たに創設された一般事務職Bは、SPI方式を採用するなど柔軟な試験方式であり、受験機会の拡大を求めてきた立場として、一歩前進したと受け止めております。
 一方で、制度を利用する受験者の視点に立つと懸念もあります。制度改正の趣旨や選択基準が不明確であると、A・Bどちらの区分が有利か、自分はどちらを選ぶべきか、処遇の差やキャリア上の不利益があるのではといった迷いや不安、疑問を持つことも考えられます。
 採用制度は、行政が人材を選抜する場であると同時に、応募者にとっては人生を左右する選択の場でもあります。制度の目的や意図が明確であり、応募者にとって納得できる内容であることが公平性や透明性を支える基盤であると考えます。
 今回の区分導入の目的や狙い、また受験者側の不安や迷いについてどのように認識され、対応されようとしているのか、見解を伺います。
○議長(佐々木加代子君)  総務課長。
○総務課長(河野光徳君)  お答えします。
 今年度の一般事務職の募集及び採用試験は、5月14日に公表し、6月19日を期限として応募を受け付けています。
 一般事務職Aは、従来どおりに教養試験と専門試験を課す受験科目となっていますが、一般事務職Bは、この2つの試験をSPI試験に置き換えることで、いわゆる公務員試験対策を必要としないものとなっています。
 なお、SPI試験とは、総合適性検査の略称で、学歴や職歴などの表面的な情報だけでなく、応募者の能力や人となりを客観的に把握することができ、9割以上の企業が新卒採用で活用していると言われています。
 この試験方式は、愛媛県及び県内他市でも既に導入されており、今年度は県内全ての市で実施される見込みで、就職活動の売手市場化や少子化等の影響で減少傾向にある受験者を確保するとともに、優秀かつ多様な人材を採用することが主な目的です。
 本市では、土木技術職のほかに、一般事務職と保育士の経験者枠の採用試験でこの試験方式を実施してきましたが、一般事務職の一般枠では初めての導入となります。
 ただし、A区分は公務員に必要な一定の教養と専門知識をはかることができること、B区分は導入初年度につきどの程度の応募があるか予測が難しいことなどから、募集人員数は、A区分が5人程度、B区分が2人程度と、一定の差を設けております。
 一般事務職のAとBで試験区分は異なっても、給与や福利厚生などの採用後の待遇は全く同じで、配属する部署の制限もありません。これは、以前からSPI試験による試験方式を導入している他自治体においても同様であり、公務職場を志望する学生はある程度浸透しているものと認識しておりますが、今後は民間企業等から転職を検討する市内出身者等にも一定の周知が必要だと考えております。
 以上です。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  答弁にありましたように、就職戦線に臨んでいる応募者本人にとっては、いろんなことを調べておりますので、ある程度周知というのは理解できますけれども、やはりこういう制度改正がある場合には、ぜひ市民にも明確に説明していただきたいと思っております。
 今回の制度改正にしても、現行の年齢層にこだわる姿勢が色濃く残っています。その考え方を私自身頭から否定するものではありませんが、年齢制限によって取り残されている若者たちが現に存在している事実があります。この点への対応について、次の質問で見解を伺います。
 一般事務職の年齢要件の引下げについてであります。今回の制度改正では、一般事務職の区分新設という前進が見られた一方で、なぜ応募年齢の引下げまで踏み込めなかったのか、大きな落胆を覚えています。
 さきの一般質問において、初級職枠の導入を求めたのに対し、「大学生と高校生では就職活動が異なるため、地元高校に対して市役所志望や内定時期を調査し、検討する」との答弁がありました。
 しかし、2年経過した今回も、対象年齢は据え置かれたまま、高卒年齢層には門戸は開かれていません。
 答弁での「検討する」はどのように進められたのか、その結果として、なぜ今回も見送る判断がなされたのか、検討した内容も併せて説明を求めます。
○議長(佐々木加代子君)  総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君)  お答えします。
 地元高校への実態調査につきましては、昨年度、令和6年度と一昨年度、令和5年度に学校を訪問して、担当の先生から状況をお聞きしております。
 その結果、高校卒業後の進路として、大学等への進学者と比べて就職者数はかなり少ないこと、高校生の採用活動解禁は9月以降となるため、既に市職員の採用試験が完了している大卒等の受験者との間でずれが生じ、市職員の採用内定者数を調整することができないこと、学校あっせんなど高校生の就職活動の特性から、民間企業と市役所の併願が難しく、高校生にとっても一定のリスクが生じることなどが分かりました。
 これらの調査結果を考慮した結果、高校新卒者が受験できる初級枠での職員募集は見送ることとしたものでございます。
 以上でございます。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ただいま学校現場の声を伝えていただきました。就職者が少ないというのは私も十分に承知しているつもりであります。
 ただ、今のお答えになかったのが、学校現場として初級枠の設定を求めるのか、導入を求めているのか、それとも、学校からして初級枠が導入されたとしても受験する者がいないという明確な意思表示があったのか。
 実は、私は今回この質問をするに当たって、2回目になりますので、八幡浜工業高校、八幡浜高校含めて十分に聞き取ったつもりでこちらに立っております。
 今の部長の答弁については、内容的には十分理解していますけども、肝腎の初級枠導入について全く触れてないんですけれども、それについてはどのような話が過去2年あったか、お分かりですか。答弁可能ですか、今の件。初級枠を導入することについて、難しいのはいろんな理由がありましたけども、学校として求めているのか、求めてないのかという1点について答弁可能ですか。
○議長(佐々木加代子君)  総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君)  先ほど答弁いたしましたように、私どもの職員が学校現場に出向いて担当の先生とお話をさせていただいております。
 その場で、いろんな先ほど答弁したような事情をお聞きした上で、実際にそのような募集があれば、市の職員に応募したい学生がいると、あるいは、いる年があると、そのようなお話は聞いております。
 ただし、正式な形で八幡浜市役所のほうに学校のほうから要望が来たということではございません。
 以上です。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今の要望の件はまた後ほど触れますので、今から少し話すことは私の勝手な思いなんですけども、高卒採用、これは先ほど答弁にもありましたけども、民間企業の採用試験が9月16日以降に始まります。それに法的に決して触れるわけではありませんけども、公務員も含めて9月16日の試験を求められているというふうに聞いております。
 市からしますと、9月16日以降となると試験を2回に分ける必要性、また人数枠の設定、日程調整、そして応募があるかどうか、これが先ほどの答弁に関わってくると思うんですけども、応募の有無などが不確実である。さらには一定の手間がかかる、私はそうした事情によって18歳という年齢層を初めから除外する前提となっているというふうに考えて仕方ありません。
 先ほどの学校現場の声についても、正式な依頼がないと、要望がないと。これは学校からいうたら当然のことで、市のほうに一教員もしくは校長先生も含めて、こうこうでぜひ初級枠を設けてくれということはなかなか流れとして言いづらいところがあります。
 そのためにこちらから出向いて聞き取り調査しておりますので、その辺の具体的なことをもう少しお互い腹割って話していただいたらというふうに思います。
 次に、高校生に絡みますけども、採用情報の周知、広報の在り方について伺います。
 現行制度では、高校卒業予定者を直接募集することは当然ながらできません。それでも、将来に向けて市役所を目指す若者を育てていくという視点は、採用戦略の中で極めて重要と考えます。
 地域で暮らす高校生たちは、進路に迷いながらも、自らの未来を選び取ろうとしています。「市役所で働く」という選択肢が彼らの視界に入っているかどうかは、単に年齢要件の問題にとどまらず、広報や情報発信の在り方に関わる課題であると考えます。
 ある市内高校では、2年生を対象に企業説明会が開催されており、本市も参加していると伺っています。こうした場を活用して、生徒や進路指導担当者に対してどのような広報・啓発を行っているのか。採用制度の理解を促すだけではなく、職場の魅力、地元で働く意義、これらを伝える取組について、広報の工夫も含め具体的に伺います。
○議長(佐々木加代子君)  総務課長。
○総務課長(河野光徳君)  お答えします。
 市内の高校で開催されている合同企業説明会には毎年度参加しています。説明会には地元企業20社程度が参加しますが、市役所は高校生にとって身近に感じやすいこともあってか、他の企業よりも参加学生が多く、100人程度の学生がブースに来場して、職員から説明を受けました。
 説明会では、総務課人事係の職員が、市役所の大まかな業務内容や仕事のやりがい、就職するにはどうすればよいかなどを20分程度で説明し、高校生から質問を受ける形で行っています。
 参加者の中には、大学進学後に公務員になりたいと考えている生徒もいて、将来の就職先として八幡浜市役所が第1希望となるように、八幡浜市や公務員の魅力が伝わるよう丁寧に説明しています。
 また、例年、地元高校からのインターンシップを受け入れており、今年度も5月に3名の高校生が3日間の日程で市役所の業務を体験しました。3名とも進学志望とのことでしたが、今回のインターンシップで市役所職員に興味を持ってもらえたものと思っており、過去のインターンシップに参加した高校生も含めて、数年後の受験につながるものと考えております。
 以上です。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  高校生、大学生のインターンシップは、採用活動の大きな好機だと私は思います。
 生徒・学生が体験したことを関心の芽として育てられているのかどうか、そこが大きなポイントであると思います。
 私は直接インターンシップを経験した学生、生徒たちと話したことありませんので、その結果は分かりませんが、先ほど答弁にもありました「公務員としての魅力をどう伝えるか」、その「どう伝えるか」を実はここで伺いたかったことなんですけども、それについては今後また個別に伺ってまいりますので、今後の広報戦略にぜひ反映させていただきたいと思います。
 次に、土木技術職の年齢要件引下げについて伺います。
 さきの一般質問において、土木技術職の年齢要件引下げを求めたのに対し、副市長より「大卒、高専卒の応募が少ない場合は、初級区分も検討する」との答弁がありました。
 しかし、今回も高卒年齢層は応募対象とされていません。
 土木・インフラ分野では、今や人材不足が深刻さを増しており、全国の自治体に共通する課題となっています。
 本市のように、地形的にも土木行政が重視される地域においては、若手人材の確保は、将来のまちづくりを支える鍵となると思います。
 地元工業高校には、早くから土木に関心を持ち、基礎的技能を身につけ、地域に貢献したいという意欲を持つ若者がいます。なぜその利点を生かそうとしないのか、なぜ彼らの受皿づくりに本気で取り組もうとしないのか、私には不思議でなりません。
 今回、土木技術職においても年齢要件を見直さなかった理由は何か、また答弁で示された「初級区分を検討する」という方針はどう扱われたのか、見解を伺います。
○議長(佐々木加代子君)  副市長。
○副市長(菊池司郎君)  土木技術職については、土木業界を志望する学生の減少や退職者の増加、民間企業の初任給の大幅な引上げもあって、一般事務職以上に人員確保が難しい状況が続いています。
 これらの状況を踏まえ、土木技術職の採用試験においては、SPI試験の導入による教養・専門試験の廃止、年齢要件の拡大(20歳から45歳まで)、試験実施日の前倒し、大学へ訪問活動など、様々な方策を実施してきましたが、昨年度の試験では、合格者の内定辞退等で採用には至りませんでした。今年度においても、先日実施の採用試験では、3人程度の募集に対して、受験者は2人であり、募集人員を満たす採用は難しい状況になっております。
 初級職区分の導入につきましては、昨年1月に八幡浜工業高校を訪問して状況を確認させてもらいましたところ、生徒数の減少で土木コースに在籍する3年生は13人と少なく、就職予定の生徒は12人でしたが、求人倍率は非常に高く、大手企業へ就職する生徒が多いとのことでした。
 また、近年の傾向として、官公庁や地元での就職を希望する生徒は少ないため、仮に募集したとしても、市役所の土木技術職として活躍できるような意欲ある生徒が応募するかどうかの判断は難しいとのことでありました。
 そのため、土木技術職の年齢要件の引下げにつきましては、今年度の採用試験の状況、今後の退職予定者の推移、主要施策の実施に必要な土木技術職の職員数など、複数の判断材料を精査した上でさらに検討したいと考えております。
 以上です。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  ただいまの答弁、前回より進歩したのかどうか私にはちょっと判断正直しかねます。
 ただ、市としていろんな政策を考えられていると。情報の聞き取り等されていることは十分理解できておりますし、それについては現場からも伺っております。
 今の話が昨年1月で、私は今回1か月以内に同じような質問をして、今回こういう制度が変わるんだけども、高校にとって初級枠についてどう考えるかと。私が今回聞き取った方、名前は申し上げませんけど、管理職の方ですけれども、ぜひ土木職求人が欲しい。
 副市長言われましたけども、確かに応募するかどうかというのは学校としても保証できない。これは、就職はあくまで生徒本人が考えるものです。ただ、そういう枠があることによって、そこに向けた指導ができる。逆に指導をしたい。それは八幡浜高校の一般事務職も全く同じです。そういう枠があれば、それを目指して生徒を育成したい、そういう気持ちを現場は持っている。
 ただし、そういう枠もない、話もないところで、市役所土木技術職、一般事務職、目指すこともかなわない現状で、結局何を言ってもスタートできない。それが現場の考えであることをぜひ理解いただきたいと思います。
 ですから、仮に1年目はゼロとしても、2年、3年続けることによってそれが浸透し、たくさんの生徒が応募してくる可能性ももちろん否定できません。
 また、学校では、そういった生徒、特に公務員を目指す、特に市役所で、地域で活躍する、そういう生徒はかなりの能力を持っている、そして意識が高い、そういう生徒を受験させたい、応募させたいという思いがありますので、とても3年生で1か月、2か月で指導できるものでありません。そういう実態をぜひ知っていただきたいと思います。
 確かに技術職には高度な専門性が求められますし、高校卒業直後の人材では即戦力にはならないと私も思っております。育成に時間と労力を要するのも事実ですので、だからこそ「育てる」という視点を重視した採用戦略が本市にも必要ではないかと思っております。
 来年統合される、そして新たに開校する市内高校では、工業科に建設工学コースが設けられます。教育課程、御存じでしょうか。製図、土木基礎力学、土木施工、測量といった実習を含む教育課程が既に整えられています。そして、将来の技術者育成にも力を入れていくと伺っております。
 こうした取組を市として把握されているのかどうか。このような地域の教育機関による前向きな動きに対して、市はそれを受け止めた対応をする必要がないのか。これについては見解を伺いませんけども、ぜひ皆さんで考えていただきたいと思います。
 今までの質問をまとめまして、次に、今後の初級職区分導入、そして採用戦略の方向性について伺います。
 これまでの質問でも申し上げてきたとおり、本市の将来を担う人材を確保するには、学歴、年齢といった形式的な条件にとらわれず、多様な背景を持つ若者たちに広く門戸を開いていく必要が不可欠と考えます。
 本市の採用戦略が競合自治体に先んじる水準に達したとは言い難く、高卒程度を対象とする初級区分の導入は、単なる試験枠の追加ではなく、採用戦略全体を見直す契機であると捉えるべきではありませんか。
 人口減少が進む中、地元で育った若者に働く選択肢を示すことは、定住促進にもつながります。たとえ採用人数が少なくとも、門戸を広げる姿勢そのものが自治体としての持続力を高める鍵になると私は思います。
 今後、高校卒業予定者を含む若者世代を対象とした初級職区分を導入する考えが現時点であるのか。また、それを含めた今後の職員採用戦略について、どのような方向性を描いているのか、見解を伺います。
○議長(佐々木加代子君)  総務企画部長。
○総務企画部長(藤堂耕治君)  お答えします。
 今年度の一般事務職の初級枠での募集を見送った理由につきましては、先ほど答弁したとおりでありまして、今後についても、現時点においては初級枠を設ける方向での協議や準備はいたしておりません。
 しかしながら、団塊世代の退職と少子化による労働力不足の問題は、官民を問わず今後も改善される見込みが低いため、近い将来、本市においても初級枠を設ける時期が来るものと考えております。
 以上でございます。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  「近い将来」という言葉をいただきましたので、その近い将来の近いをどの程度なのか、いいほうに解釈していきたいと思います。
 この初級区分制度については、私自身は制度の柔軟性と開かれた市政を示すという意味であって、決して人が少ないから、大卒が採れないからという意味ではありません。もともとの発想はそこにありません。あくまでそういった戦略的な判断と私は思っております。
 特に高校卒業世代は、地元にとどまるか、外に出るかを決める重要な分岐点に立っています。本市がこの年齢層に正面から向き合わなければ、地域に根差した人材は今後ますます減少するのではないかと危惧しております。
 初級区分導入を検討対象ではなく、今「近い将来」という話がありましたけども、ぜひ実行計画に位置づけていただきたいと思っております。
 それでは、以上をまとめまして最後の質問をいたします。
 市職員採用戦略について、私自身遅きにして知った感は否めませんが、これまで提言してきた方向性を既に実践している自治体の事例を紹介します。
 市長も御存じかと思いますので、後ほど所感を伺います。
 紹介するのは大洲市の取組です。
 同市では、平成19年以降停止していた一般事務職の初級区分を令和5年から再開し、今年で3年目を迎えています。
 再開の理由は、応募者減少による人材確保の難しさ、そして高卒世代の採用による地域定着の推進でありました。
 実際の試験結果を見ると、令和5年度は募集2名に対して応募5名、倍率2.5倍、高校生1名を含む2名が合格。高校生1名はそのまま採用されております。
 令和6年、昨年は応募13名、倍率4.0倍、高校生1名は合格しましたけれども、他の公務員に就職し、辞退をしております。
 土木職初級には、高校生の応募は2年連続ありませんでした。
 この結果だけを見ると、数値上は劇的な成果とは言えず、こうした状況が本市での年齢要件見直しをちゅうちょさせているのではないかと私は推測しております。
 しかし、大洲市はこの結果を踏まえ、今後もこの取組を継続することに迷いはないと明言しています。初級区分の募集要項は、広報7月号に掲載予定とのことですが、高校訪問などを通じて積極的なリクルートを展開されるものと推察しております。
 以上の事例について、市長の所感を伺います。
○議長(佐々木加代子君)  市長。
○市長(大城一郎君)  大洲市を含む近隣市町や県内他市において、職員採用試験に初級枠を設けて高卒者を採用していることは承知しております。
 また、地域において市役所や公務職場が貴重な雇用の場となっていることは十分に認識していますし、自分が生まれ育った愛着のある地元に残って市民と一緒に地域を元気にしていきたいと考える若者の気持ち、これを大切にしたいと考えています。
 ただし、高校卒業後すぐに就職して、勤務の中で経験を積みながら成長していく道もありますが、大学等に進学して専門的な知識や技能を習得したり、新たな地域で人々との出会いや交流を重ねることも、人生において非常に貴重な財産となります。
 そのため、八幡浜市役所で働きたいと希望する中学生や高校生には、まずは大学等で様々な経験をして、大きく成長し、その後ふるさとへ戻って自分の能力を存分に発揮してもらえれば、本人にとっても、八幡浜市にとっても最も望ましい形になると考えています。
 職員採用試験の在り方については、先ほど総務企画部長が答弁したように、今後、少子化による労働力不足等が懸念される中で大きく変わっていくものと思います。
 必要な人員を確保するためには、今年度から導入したSPI試験だけでなく、デジタル人材など、時代が求める職員をいかに確保していくかの不断の努力が求められており、初級職の採用については、そのような大きな流れの中で、適切な時期を判断していきたいと考えておりますし、私も市長として各高校を訪ねる機会が多々あります。そのときに、初級枠についての話を校長先生または専門の教職員に話したことは今までにありません。
 今回、田中議員からこのような提案をいただきましたので、その初級枠についても、初級職の採用枠についても、校長先生また就職担当の職員の方、現場の職員の方とも膝を詰めて話してみる、そういう機会を設けたいと思います。
○議長(佐々木加代子君)  田中繁則議員。
○田中繁則君  今の段階で私が今回の質問で求めている答弁、今市長がそのものずばりで言っていただきました。決してこの場で、来年度から、再来年度から初級枠を設けるということを期待してここに立っているわけではありません。
 市長のおっしゃるような子供たちに期待すること、もっと成長を促すこと、これはもちろんもっともであります。
 ただ、私がここで1つだけ付け加えておきたいことは、大人の考えと子供の考えはずれがあります。特に高校生、今18歳は法的にも成人扱いされる年になっております。ですから、自分が選択するという意味において、例えば初級職を設けてそこに絶対行く必要も当然ありませんし、私は大学・専門学校を通じてさらに成長し、専門的なことを学んだ、また社会を知った上でそういう行政マンとなりたいという生徒もおれば、私は今すぐここに入って市民の役に立ちたい、そういった生徒もおるのが事実です。大人の都合でこうだからって決めることは決してよろしいとは思いません。
 ですから、ずっと言い続けてきているのは、とにかく門戸を広げていただきたい。その結果、生徒自身がどちらを選ぶか、これはやはり本人に任すしかないと思います。
 そういった意味でも、今の市長の答弁にもありました、学校と十分に話を持っていただくということは必要やと思いますし、私のそういった質問に答えていただいたことを感謝しております。よろしくお願いします。
 今回の質問は、基本に戻りますけれども、私個人が勝手に考えてここに立っているのではなく、学校現場の実情を受け止め、そこから寄せられる声を見過ごすことはできないという思いのもとでここにおります。
 来年4月には市内3高校が統合され、その3年後には4つの学科で専門的な学びを積んだ生徒たちが学校から社会へ巣立っていきます。そうした若者たちに、この町で働きたいと思ってもらえなければ、迷うことなく他の地域へ流れていきます。
 市から発信されるメッセージには、町の未来を左右する力があると私は思っています。今や人材をめぐる競争は、企業、国、県、そして他自治体との真剣勝負であり、理念を具体化する制度設計と実行力こそが町の持続可能性を支える基盤になると思っております。
 若者がこの町で働き、暮らし、将来を描けるように、その実現に向けて学校現場の切実な声、若者たちの直面する現実に真摯に向き合い、実態に根差した制度の改善が求められることを強く求めて私の一般質問を終わります。

お問い合わせ

議会事務局
住所:愛媛県八幡浜市北浜一丁目1番1号
TEL:0894-22-5998
FAX:0894-22-5963
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